編集長コラム)CSRとサステナビリティを巡る一考察

さて、以上のように、「CSRはもう古い。これからはCSVだ。サステナビリティだ」という論調がたまに出てきますが、これではCSRの本質を正しく理解し、企業経営の根幹に統合していくという本来の姿からはかけ離れていくばかりです。

この数年で、「CSR部」を名称変更してサステナビリティなどの名称に変えた企業もありました。その理由としては「CSRでは従業員に理解してもらえない」「CSRという概念は難しすぎる」「欧米企業では使っていない(事実ではありません)」というものが多かったようです。

ただし、筆者が見る限りは、CSR部の名称を廃した企業においてCSR活動が進化した例は決して多くはありませんでした。CSRやCSV、そしてサステナビリティという言葉を正しく理解し、正しく位置付け、組織に統合することが重要です。その中で特に「CSRという言葉から逃げない」ことが何より肝要です。

今回、このような記事が世の中に出るということは、CSRやその体系が世の中にあまり理解されていないことが改めて分かりました。これは大変残念であるとともに、CSRやサステナビリティについての雑誌を10年間運営してきた身にとって、力の限界を改めて感じさせられました。筆者としても、今後も、諦めずにCSRの理解と普及に努めていきたいと考えています。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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