宇都宮の小学校、紅茶部が文部科学大臣賞に

ここから、紅茶部発足へ向けて、学校→市→地域の関係者等いろいろな方を巻き込んで、少し大げさになってしまったが、紅茶部発足に向けて、それを願う数名の発起人がゴールに向けて動いていった。その期間、3年なり。

時流に乗って、2013年文科省経由で教育委員会が実施する「放課後こども教室」事業の一環として採用され、無事に予算もつくようになった。

その間、地域のボランティアの方、発起人の一人である、地域のスーパー主婦も「地域コーディネーター」に就任する事により、万全の態勢となった事により、その年より正式に紅茶部が発足、部員募集と相成った。もちろん僕は顧問に就任。同時に部のスローガンを設けた。

1.おもてなしの心を育む
2.郷土愛を育む
3.紅茶のように、「温か」で、「癒しのある」、「優雅」で「品」のある「優しい」人になりましょう!

紅茶部という、いわばマイナーで女性部員をイメージさせる部であるから、当初は10人程度の児童が参加するような想定をしていた。それが初年度から30人超、次年度には50名と、200人ちょっとの小規模校の5人に1人が紅茶部所属という嬉しい異常事態となった。現在は、安全面と一人ひとりの部員のフォローの点から30人定員としている。

紅茶部にこれだけ沢山の子どもたちが集まってくれたのは、きっと紅茶の淹れ方以外の学びが沢山あるプログラムを提供できたからだと思う。

・紅茶とは?(緑茶との違い)
・美味しい紅茶の淹れ方
・紅茶の歴史(1年生でもわかる内容にアレンジして)
・ショートトリップ(Y’s tea の紅茶にブレンドしてある果樹園の訪問やY’s tea での特別活動、市のイベントでの研究発表会、紅茶屋台出店など)
・紅茶クイズ
・紅茶と健康
・各種イベント(クリスマス会、卒業生を送る会)

すると、風が吹けば桶屋が儲かるが如く、紅茶部に入れば、

・朝食を食べる
・早起きする
・挨拶をする
・人に優しくなる
・言葉遣いが良くなる
・(目の前で紅茶を淹れてあげて)祖父母を泣かせる

――など、嬉しい副産物が沢山生まれたのだ。

当時の校長が、「授業中話を聞いていないあの子が、一番前でかぶりつくように根本さんを見ているのを見て、正直驚きましたよ!」と仰っていたのも印象的だった。

だが、やはり嬉しかったのは、「紅茶部に入部出来たのは、この地区に住んでいたおかげ!」「先生(僕)のように、地元を好きになり大切にしたいと思った」「紅茶の街宇都宮のシンボルになりたい!」という子が増えていったことだった。

■紅茶部の軌跡

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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キーワード: #CSR

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