その中で、パリ協定が定めた「産業革命前に比べて地球の気温上昇を2 度未満に抑え、さらに1.5 未満を目指す努力をする」という目標達成に向け、銀行には世界経済の脱炭素化を実現させる資金源を提供することが期待されています。
PRBには次の6つの原則があります。1)整合性、2)インパクト、3)クライアントとカスタマー、4)ステークホルダー、5)ガバナンスと目標設定、6)透明性と説明責任。
今後、この「PRB6原則」は、民間銀行の投融資方針やビジネス戦略が、パリ協定の目標達成と整合しているかを測るベンチマークになるでしょう。
日本を代表する3大金融グループの出遅れ目立つ
「PRB 原則1:整合性」は以下のように定義されています。「私たちはSDGs、パリ協定、そのほか関連ある国・地域レベルのフレームワークにある個人のニーズや社会ゴールに一致し、その達成に貢献するビジネス戦略を設定します。特に、私たちのビジネスがもっとも大きなインパクトを与える分野に注力します」
一方、パリ協定に整合させようと奔走する世界の銀行に対し、日本を代表する3大金融グループの出遅れが目立っています。
三菱UFJ ファイナンシャル・グループ、三井住友ファイナンシャルグループ、 みずほファイナンシャルグループは、それぞれ「与信方針に環境負荷の高い石炭火力発電部門へのファイナンスを今後慎重に判断する」と表明していますが、これら金融機関のポリシーはパリ協定に整合しないことは明らかです。
国連環境計画(UNEP)は、パリ協定の1.5~2°C 目標達成のためには、仮に高効率のものであっても、新たな石炭火力発電所の建設は許されず、既存の石炭火力発電所も廃止していく必要があると勧告しています[1]。
3大金融グループの方針では、高効率の石炭火力発電所への投融資を「慎重に判断」しながら継続させることが可能な一方、パリ協定の1.5~2°C 目標達成について触れられていません。