消費者庁「ゲノム編集食品に表示義務なし」に批判

「ゲノム編集」食品について「表示を義務化しない」という消費者庁の方針に対して、日本消費者連盟など複数の団体が批判し、署名運動を始めた。ゲノム編集は狙った遺伝子を切断するなどして、効率がよい品種改良を目指す手法だ。早ければ年内にも流通する。(編集委員=高馬 卓史)

ゲノム編集食品には、狙った遺伝子を壊す手法のほかに、外部から遺伝子を導入する手法があるが、後者については表示義務が生じる。

しかし、前者に関しては、「自然界で起こりうる変化の範囲内」であり、従来の育種技術による変異との判別が困難との理由を付け、消費者庁は「表示義務が妥当ではない」と判断した。

厚労省は、表示義務のないゲノム編集食品について、任意の届け出制度を10月1日から始め、積極的に情報提供に努めるべきだとした。

また、ゲノム編集食品でないことを表示する場合は、流通管理の取引記録など、根拠となる資料に基づいて表示するように求めた。

しかし、こうした行政判断に対して、まず日本消費者連盟が批判した。

「消費者の知る権利、選ぶ権利を奪い、私たちの健康に生きる権利を脅かすもの。すべてのゲノム編集作物の環境影響評価、食品安全性審査、表示の義務を求める」と署名運動を展開している。

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高馬 卓史

1964年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。総合情報誌『選択』編集長を経て、独立。現在は、CSR、ソーシャルビジネス、コミュニティ・デザインなどをフォロー中。執筆記事一覧

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