味の素の西井孝明社長は24日、「国が企業に課す炭素税などの負担リスクは80~100億円と想定し、これを軽減することが最重要対策だ」と、同日開いた株主総会で表明した。炭素税の削減策としては温室効果ガス削減、再生可能エネルギー使用、冷媒の脱フロン化、モーダルシフトなどがある。ESG課題としては「気候変動」「資源循環型社会構築」「サステナブル調達」を掲げた。(オルタナ総研コンサルタント=室井孝之)

炭素税削減策は、2030年までの数値目標として「温室効果ガス削減率を50%削減」「再生可能エネルギー利用比率を50%化」に取り組む。同時に国内冷凍食品工場のフロン式フリーザーの脱フロン化、物流面では、環境負荷の低い鉄道や船舶によるモーダルシフトに継続的に取り組む。
気候危機対応イニシアティブとしては、世界の平均気温の上昇を「2度未満」に抑えるために、企業に対して科学的な知見と整合した削減目標を設定するよう求めるSBT認証を2020年4月に取得した。
「温室効果ガス」と共に「気候変動」の「水リスク」では、「製造工程水使用削減率を2030年までに80%削減」する。併せて「水源の森林整備」として「飲料使用水森林涵養(降水が地下に浸透し地下水となること。森林面積が大きいと涵養量すなわち地下水が増加する)率を2025年までに100%以上」を目標化した。
「資源循環型社会構築」では、リデュース、リサイクルを通じ「プラスチック廃棄物」を2030年までにゼロ化すると共に、「フードロス削減率」を2030年までに50%削減する。