パソナグループが本社機能を東京から淡路島に移し、社員1200人が移り住むという発表には驚きました。時はまさにコロナ禍。このCOVID-19は私たちを内省に向かわせ、間違いなく、生き方の見直しを迫っています。東京への一極集中の大きな流れはなかなか変わりませんが、ことし夏以降、東京圏からの人の転出が転入を上回っています。職を失って都会を離れた人も多かったでしょうが、「密」な都会の環境を嫌って「疎」空間の地方を目指した人も少なからずいたはずです。

コロナはコウモリから感染したといわれますが、自然環境の破壊がなければ人獣共通感染症はここまで深刻化していないでしょう。「脱炭素」だと今になって大騒ぎしているCO2による温暖化も地球環境に無関心だった私たちに反省を強いています。SDGsやESGの異様なほどのブームもこれと無関係ではないでしょう。

経済的利益の追求、そのための開発、環境破壊、人権侵害、また、それに伴う都市への富と人口の集中、地方の荒廃。これでいいのか、何か大切なものをどこかに置き忘れてきてしまったのではないか。企業経営者を含め、みながそう感じ始めています。価値観の転換点といえるでしょう。

そんな中、リモートワークやワーケーションの活用もあって地方が見直されつつあると感じます。人口減に伴う過疎化、高齢化など廃れ行く地方を何とかしようという動きはこれまでもありました。2011年3月の東日本大震災が地方の深刻さを浮き彫りにしたこともあり、2014年度から地方創生がスタートしています。

このころスタートした興味深い事業があります。「地域おこし企業人交流プログラム」です。3大都市圏から地方圏への人の流れをつくるという事業です。企業人が持つマーケティング技術など専門性や仕事で培った人脈、ノウハウを活用して地域の課題を解決してもらおうという事業で、その人の人件費について560万円を上限に自治体が負担します。移住するわけはありませんが、SDGsの担い手がビジネスセクターであるように企業の持つリソースは社会に大きなインパクトを与えるに十分です。

社会を構成する3つのセクター、つまり、政府、企業、市民社会のうち公益を担うのは政府や行政でした。しかし、今や企業に期待が集まっているのです。

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