原田勝広の視点焦点―「SDGsエキスポ」探訪記

記事のポイント


  1. 12月上旬に「SDGs Week EXPO2022」が東京ビックサイトで開催された
  2. テーマは17目標に沿って自然災害対策展、カーボンニュートラルなど多岐にわたる
  3. プラスチックのリサイクルの取り組みも目立った

りんかい線の国際展示場駅で降りて東京ビッグサイトで開催された「SDGs Week EXPO2022」を見に行きました。12月上旬のことです。新聞記者時代は直接当事者にインタビューできるので、常に最新の情報に接することができましたが、大学で教えるようになって世の中の動きがわかりにくくなりました。セミナーやシンポジウムには可能な限り参加することにしていますが、どうしても頭でっかちになりがちです。今回は「SDGs17目標を見える化します」という展示会のコピーに惹かれ現場情報を求めて出かけましたので報告します。

会場にあふれる子どもたち

会場に足を踏み入れるとその広いこと。SDGsが欲張りなほど地球規模課題を包括しているため、テーマも17目標に沿って自然災害対策展、カーボンニュートラル、社会インフラテック、森と木で拓くSDGsゾーンなど多岐にわたっています。東京フードドライブまである。これは、会場に来る人に缶詰、レトルト食品など家庭で余っている食品を持参してもらい、それを食品を必要としている団体へ寄付しようという斬新な試みです。あまりの多さに、歩いていて迷子になりそうで、まさに探訪というにふさわしい会場です。

会場では若い人の姿が目立った

会場にいて驚くのは小学生の多いこと。中高生もいますが、小学生は列を組んでブースを回り熱心にメモを取っています。いわゆるZ世代。学校単位で来ているのでしょうが、環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんが地球温暖化に抗議してスウェーデンの国会前に座り込んだのは確か15歳の時ですから、気候変動を含むSDGsはもはや「未来の大人」である彼らにとっての重大関心事なのでしょう。

今世紀末に産業革命以来の気温上昇が2度を超える、あるいは超えないかという時、われわれ高齢者は亡くなっていますが、今の子どもたちは生きているのですから当然でしょう。彼らに「持続可能な地球」を無事に引き渡すことができるのか大人としての責任を感ぜざるをえません。

海洋プラ問題に企業連携で取り組むCLOMA

まず、最も関心を持っていた海洋プラスチックごみ対策パビリオンに直行しました。すぐ隣にセブン&アイ・ホールディングスのブースがあり、ペットボトル回収機の実演が人気でしたが、こちらは、487社が連携して海洋プラ問題に取り組むCLOMA(クリーン・オーシャ ン・マテリアル・アライアンス)の展示です。

ごみ問題は単純ではありません。ポイ捨て防止の啓発活動から始まり、3R(リデュース、リユース、リサイクル)の強化、生分解性プラスチック、紙など代替素材の技術開発とやることは多岐にわたります。

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原田 勝広(オルタナ論説委員)

日本経済新聞記者・編集委員として活躍。大企業の不正をスクープし、企業の社会的責任の重要性を訴えたことで日本新聞協会賞を受賞。サンパウロ特派員、ニューヨーク駐在を経て明治学院大学教授に就任。専門は国連、 ESG・SDGs論。NPO・NGO論。現在、湘南医療大学で教鞭をとる。著書は『国連機関でグローバルに生きる』など多数。執筆記事一覧

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