外部への想像力が、いま別の文脈で鋭く問われている。

コロナ禍で、私たちは人と人の距離だけでなく「地球生態系との距離感」も問われた。新型インフルエンザ、エボラやエイズなど多くの新型感染症の頻発は、渡り鳥の生息地である湿地帯や野生動物の棲む熱帯林の破壊と深い関わりがある。

プラゴミによる海洋汚染、自然資本の調達リスク、地球温暖化・・すべて私たちの社会と経済の「外部」への想像力が問われる問題だ。人間の経済は人間の営みだけで成立しているわけではない。SDGsで強調される「パートナーシップ」も、人間界に閉じたパートナーシップでは限界がある。

私たちは地球の豊かな恵み=Giftを期待しうるほどに、地球にGiftを贈っているだろうか?自然資本の枯渇を言うまえに、自然資本にまっとうな投資をしているだろうか?――こうした事に思いを馳せる大切な通過儀礼として、2020年のクリスマスを迎えたい。

(注)10月末のハロウィンから12月初めの「聖ニコラスの日」、12月下旬〜新年(冬至期)のクリスマスに至る一連の流れが、「あの世から来訪した死者=子供が生者を脅かし、現世代と取引をして(贈り物を受け取って)あの世に還っていく」世界の再生の儀礼であることを、構造人類学者のレヴィ=ストロースが分析している。詳しくは『われらみな食人種』(創元社刊)冒頭の「火あぶりにされたサンタクロース」参照。
ちなみに筆者も子供時代に暮らしたアメリカで、ハロウィンの日に変装して「Trick or Treat」(ご馳走をよこせ、さもないと呪いをかけるぞ)と大人を脅しながら家々をまわり、お菓子をもらった記憶がある。

竹村 眞一

京都芸術大学教授、NPO法人ELP(Earth Literacy Program)代表理事、東京大学大学院・文化人類学博士課程修了。人類学的な視点から環境問題やIT社会を論じつつ、デジタル地球儀「触れる地球」の企画開発など独自の取り組みを進める。著書に『地球の目線』(PHP新書)など

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