ボトル9割回収へ、欧州の脱プラ指令とは

EU(欧州連合)は海洋汚染を防ぐための脱プラスチックの指令を公布した。2021年から多くの使い捨てプラスチック製品が禁止になり、今後10年でプラスチックボトルの9割の回収を目指す。デポジット(預かり金)制度がある国は総じてリサイクル率が高い。

小型ボトルが強い反発で廃止

2019年6月12日、EUは脱プラスチックの指令を公布した。2021年から多くの使い捨てプラスチック製品が禁止になる。

対象はプラスチックの皿、カトラリー、ストロー、マドラー、綿棒の芯、風船の棒、マイクロプラスチックとして環境に長期間残留することが懸念される酸化型生分解性プラスチック、発泡スチロールのコップと食品容器だ。

海洋ゴミからプラスチックを締め出すのが目的で、2029年までにPET(ペット)を含むプラスチックボトルの9割を回収することを義務付けた。

プラスチックボトルの原料は4分の1を2025年までに、3割を2030年までにリサイクル済みプラスチックにしなければならない。加盟国は2021年7月3日までに指令に合うように国内法を整備する必要がある。各国で法制化が進むEUだが、国民の関心の高さも企業の変容を後押ししている。

スイスとの国境近くに工場があるフランスの「evian」(エビアン)は、世界で最も有名なミネラルウォーターブランドの一つだ。親会社のダノンはサステナビリティをモットーとしている一方、エビアンで200㍉㍑の小さいボトルを展開している。

これに対し、プラスチックの無駄だとして2019年6月に「小瓶やめろ」の署名運動がフランスで起きた。数週間で1万5千筆以上が集まり、反響の大きさを知ったダノンは2019年末に小瓶の製造中止を発表した。PETボトルに対する市民の目が厳しくなり、企業は言行一致を迫られている。

リサイクル率預かり金で向上

hanyu

羽生 のり子(在パリ編集委員)

1991年から在仏。早稲田大学第一文学部仏文卒。立教大学文学研究科博士課程前期終了。パリ第13大学植物療法大学免状。翻訳業を経て2000年頃から記者業を開始。専門分野は環境問題、エコロジー、食、農業、美術、文化。日本農業新聞元パリ特約通信員、聴こえの雑誌「オーディオインフォ」日本版元編集長。ドイツ発祥のルナヨガ®インストラクター兼教師養成コース担当。共著に「新型コロナ 19氏の意見」(農文協)。執筆記事一覧

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キーワード: #脱プラスチック

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