NPOのマネジメント改善で社会課題の解決目指す

NPO法人presents代表理事の佐々木隆紘さん

成果発表会では、10団体がA3用紙1枚をベースに取り組みの成果を発表した。運営体制の構築や人材育成、研修制度の充実や業務の効率化など、問題解決のテーマはさまざまだ。

NPO法人presents(東京・足立)代表理事の佐々木隆紘さんは、思いを共にする理学療法士の仲間らと2017年にNPOを設立した。子育て支援や子どもの居場所づくりを通じて、子どもの自己肯定感を育むことを目指して活動を続ける。

同NPOのスタッフは、副業的に携わっているため、代表理事である佐々木さんに業務が集中しがちで、その問題意識からカイケツに参加した。初回の講座を受けて「日常業務のばらつきやコミュニケーション不足が影響して、自身に業務が集中してしまっていたことに気が付いた」と話す。

そこで、隙間時間でも取り組みやすい「広報業務の強化」を題材に問題解決を進めることになった。現状把握として、スタッフ6人の各種SNSでの投稿件数などを計測すると、投稿頻度や量にばらつきがあることが分かった。

なぜ広報業務ができていないのか――。佐々木さんがスタッフにヒアリングを行い、要因分析したところ、「何を発信すれば良いか分からない」「スタッフが多忙」などの意見が出てきた。だが、「そもそも個別のコミュニケーションが少なく、現状把握もできておらず、広報業務を強化するための体制がつくれていなかったことに気付いた」という。

そこで「全スタッフの広報業務を強化するための仕組みの構築」を問題解決のテーマに掲げた。対策として、定期ミーティングや個別面談を開催したり、目的意識を共有する場を持ったりしたことで、少しずつ活性化してきた。

「カイケツの期間内で広報業務の強化という成果までは出せなかったが、今後の法人運営に重要な根深い問題に取り組むことができた。今後もスタッフと情報共有しながら、スタッフ育成にも力を入れていきたい」(佐々木さん)

担当した鈴木直人講師(日野自動車TQM推進室主査)は、「多くのNPOにとって、存在や社会課題を知らせるため、広報は重要な仕事だと思う。今回は単に広報業務を強化するという話ではなく、マネジメントの改善がテーマだった。スタッフの声を聞き、組織の根深い問題に気付いたことは、今後の糧になったのではないか」と評価した。

会議時間の短縮で本来の業務に集中

yoshida

吉田 広子(オルタナ副編集長)

大学卒業後、米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。日本に帰国後の2007年10月、株式会社オルタナ入社。2011年~副編集長。執筆記事一覧

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キーワード: #NPO#SDGs

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