NPOのマネジメント改善で社会課題の解決目指す

NPO法人宮崎文化本舗の武田貴恵さん

NPO法人宮崎文化本舗(宮崎市)は、1995年から開催している宮崎映画祭を企画・運営してきた実行委員会のメンバーが中心となって設立された。宮崎文化本舗は文化事業のほか、中間支援団体としてNPO支援、ボランティアのマッチングなどを行っている。

現在、常勤3人、非常勤6人が在籍しているが、どうしても常勤職員の業務負荷が大きく、多岐にわたるため、業務を平準化し、本来の業務である「NPOやボランティアからの相談」に対応できる体制づくりを目指した。

業務時間を計測した結果、会議を設定するための時間や会議そのものの時間、情報誌作成に時間がかかってることが分かった。

そこで、会議にタイムキーパー制度を導入したり、アジェンダに時間配分を記載したり、効率的な業務引き継ぎを実施したりしたところ、月7時間の削減につながった。

職員の武田貴恵さんは、「目に見えて残業時間が減った。それまで残業でカバーしてきた相談業務に時間を割けるようになり、余裕をもって対応できるようになってきた」と成果を語る。

担当した中野昭男講師(元トヨタ自動車、のぞみ経営研究所長)は、「組織として価値を提供するために、どうあるべきかを考え、本来の相談業務に時間を割くべきという結論に至った。相談業務の実態と残業の実態を丁寧に調べ、現状把握をしたことが成果につながったのではないか」と話した。

このほか、参加者からは「メンバーの目標意識を情報共有が促進され、成果につながった」「客観的なデータの提示によって経営課題が明確になった」「論理的な視点と感情的な部分でのサポート、どちらも大切なことを学んだ」といった感想が上がった。

古谷健夫講師(クオリティ・クリエイション代表、元トヨタ自動車)は、「組織が顧客や社会の期待に応えてアウトプットを出していくことで、顧客や社会が満足するばかりではなく、働く人の満足にもつながる。これがトヨタの『問題解決』。その先にはNPOの皆さんが目指すSDGs(持続可能な開発目標)の実現にもつながっていく。カイケツはこれで終わりではなく、定着できるように、良いレベルを維持していってほしい」と激励した。

yoshida

吉田 広子(オルタナ副編集長)

大学卒業後、米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。日本に帰国後の2007年10月、株式会社オルタナ入社。2011年~副編集長。執筆記事一覧

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キーワード: #NPO#SDGs

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