持続可能性を追求する東京五輪の運営はレガシーになるか

一方で、新型コロナウイルスの感染拡大で懸念されているのが、暑さが厳しい東京の夏でのマスク着用などの対策だ。選手のみならず、大会関係者や会場を訪れる観客に至るまで、マスク着用での熱中症の可能性などの安全面と、感染症対策の両面での配慮を要する難しい課題となっている。どのように線引きしていくかには、まだ議論の余地がありそうだ。

会議の席で「アフターコロナにはグリーン成長に取り組むことが世界の認識になっている。国内でも2050年脱炭素化を明言したり、SDGsが浸透してきたりと、今まで以上の期待感が高まっている。そんな思いもしっかりと受け止めて、準備を進めていくべき」と話したのは、ディスカッショングループの座長を務める、ジャーナリスト・環境カウンセラーの崎田裕子さんだ。彼女の言葉から、サステナビリティ推進面ではオリンピック・パラリンピックを一つのお祭りで終わらせてはならないという意気込みを感じた。

大会開催の可否については依然として不透明さは残るものの、準備を進める委員会では大会関係者の人員削減や、選手団の選手村入村式の取りやめといった「簡素化」を進めている。一方で、延期になったことで、かえって持続可能性を推進する機運が高まっている。東京オリンピック・パラリンピックで盛り上がった動きが、次世代に「レガシー」として残るようにしたいという思いを、組織委員会の一人ひとりが広く共通認識している。そのことに、世間も注目すべきではないだろうか。

過去の持続可能性ディスカッションクグループの議事録は、東京オリンピック・パラリンピックの公式サイトより確認可能
https://tokyo2020.org/ja/games/sustainability/sus-group-discussion

teramachi

寺町 幸枝(在外ジャーナリスト協会理事)

ファッション誌のライターとしてキャリアをスタートし、米国在住10年の間に、funtrap名義でファッションビジネスを展開。同時にビジネスやサステナブルブランドなどの取材を重ね、現在は東京を拠点に、ビジネスとカルチャー全般の取材執筆活動を行う。出稿先は、Yahoo!ニュース、オルタナ 、47ニュース、SUUMO Journal他。共同通信特約記者。在外ジャーナリスト協会(Global Press)理事。執筆記事一覧

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