Jリーグ、クラブの非財務的価値向上へ

Jリーグには、「シャレン!」という社会課題解決を目指すプラットホームがあることをご存知でしょうか。1993年のリーグ発足当初から、各クラブにはホームタウン活動(地域貢献や環境保護など)を義務化して、地域との接点を持ちながら発展してきました。今では、このホームタウン活動はJ1などに所属する57の主要クラブ合計で年間2万5千回に及びます。こうした地道な活動を基盤となってできたのが、「シャレン!」です。一言で表すと、クラブの非財務的価値を高める取り組みです。(オルタナS編集長=池田 真隆)

https://www.youtube.com/watch?v=xUEWjVyU75Q&feature=emb_imp_woyt
シャレン!は社会連携の略称 ©J.LEAGUE

シャレン!とホームタウン活動の違いについて説明します。従来のホームタウン活動では、クラブが特別支援学校などを訪問していました。一方、シャレン!では、①クラブ、自治体、企業など3者以上が連携して、②社会的テーマに対して取り組みます。

特別支援学校にホームタウン活動として選手が訪ねる場合は、将来的に子どもたちがファンになってくれる可能性が見込めます。シャレン!として、特別支援学校で活動を行う場合には、まず支援学校の課題はどこにあるのかを探ることから始めます。

原因を掘っていくうちに、障がいのある方と接する機会がない人が多い、感覚過敏のお子さんはスタジアム観戦にハードルがあるなどと真因が分かったとします。すると、クラブは「学校を訪問する」だけではなく、違うアプローチを取らないといけなくなります。課題を解決するための本質的な活動は何かと考えるようになるのです。

クラブとしてはこれまで以上に様々な人や団体と協働することになり、その結果、新たなファンに加えて、様々な団体との関係性の構築、新規スポンサーの獲得すらも期待できます。

■きっかけは村井チェアマン

シャレン!は2018年に始動したばかりです。発案者は、村井満チェアマン。もともと、多くのNPOとのつながりを持っていた村井チェアマンは、社会課題への意識を強く持っていました。「Jリーグを活用して、社会課題の解決につなげたい」と考えたのがきっかけです。

社会課題を解決するために、企業、学校、行政、NPO、住民などと協働して取り組むプラットホームを目指したので、シャレン!のコンセプトは「Jリーグを使おう」です。「使おう」という言葉通り、公式サイトでリーグやクラブと一緒に取り組みたい企画を募集しています。毎年5月にはアワードを開き、取り組みを表彰しています。

それでは、各クラブはどのような取り組みをしているのか見ていきましょう。

セレッソ大阪、スタジアムで読者会

川崎フロンターレや横浜FC、ヴァンフォーレ甲府などでは、障がい者の正規就労移行を促進するプロジェクトの一環として、ホームの全試合で、スタジアムで就労体験の機会を提供しています。

スタジアムでの就労体験の様子 ©J.LEAGUE
M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナS編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナS編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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キーワード: #SDGs

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