原田勝広の視点焦点:松の海岸林は人づくり街づくり

オイスカは現地入りしてすぐに現地を調査しました。わかったことは、海抜ゼロ㍍ではクロマツは地中深くに根を張る深根性のはずなのに根が下に伸びていません。円盤のような浅い根のため簡単に倒れこれをさらして「根返り」をおこしていました。

しかし、高さ1㍍ほどの土がある場所ではここに根を張りしっかり立って残っていました。盛り土をすれば問題はなく、クロマツは日差し、乾燥に強く、耐塩性もあるので、海岸林にぴったりなのです。

オイスカの努力が実り、地元に受け入れられる日が来ました。播種や収穫など農作業の節目に催すホルモン焼の宴会「とんちゃん」に招かれたのです。「俺たち、お前らを認めるから」。荒い言葉でしたが笑顔に、温かい心情があふれていました。プロジェクトの構想から半年がたっていました。

10年でここまで成長した海岸林 (オイスカ提供)
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原田 勝広(オルタナ論説委員)

日本経済新聞記者・編集委員として活躍。大企業の不正をスクープし、企業の社会的責任の重要性を訴えたことで日本新聞協会賞を受賞。サンパウロ特派員、ニューヨーク駐在を経て明治学院大学教授に就任。専門は国連、 ESG・SDGs論。NPO・NGO論。現在、湘南医療大学で教鞭をとる。著書は『国連機関でグローバルに生きる』など多数。執筆記事一覧

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