COP26でゼロエミッション車化、なぜ日本が非署名

英・グラスゴーで開いたCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)が現地時間13日に閉幕した。11月10日には、2035年までに主要市場で、2040年までに全世界で販売する全ての新車を「ゼロエミッション車」にすることを目指す共同声明を発表した。議長国の英国や、スウェーデンなど38カ国やメルセデス・ベンツ、フォード、ボルボなどの自動車メーカーが署名した一方、日本政府、国内自動車メーカーは署名しなかった。その理由を探った。(オルタナ副編集長=山口勉)

ゼロエミッション車への移行を加速する声明(COP26のウェブサイトから)

■欧州など38カ国や自動車メーカー11社が署名

COPでは、各国の政府が交渉を重ねるだけでなく、事業分野やテーマなどセクターごとで行う交渉がある。その中でも自動車分野は主要なセクターのひとつだ。

発表した共同声明には、パリ協定で定めた協定で定めた「1.5度」目標を達成するために「ゼロエミッション車」への移行に賛同した、政府や自治体、企業、投資家などが署名した。

声明では、自動車(バンを含む)新車の販売を2035年までに主要市場で、2040年までに全世界で販売する全ての新車を、ゼロエミッション車(EVなど温室効果ガスを排出しない自動車)にすることを目指した。ただし、法的拘束力はない。

声明には、COP26の議長国である英国をはじめ、スウェーデン、カナダ、ニュージーランドなど38カ国とカリフォルニア州やバルセロナなどの自治体や都市、メルセデス・ベンツ、ボルボ、フォード、ゼネラルモータースなど自動車メーカー11社、投資家や銀行が著名した。

■EV一辺倒ではない日本メーカーは、代替技術の提案も

一方で、日本、米国、中国、ドイツや日本の自動車メーカー、ドイツのBMWやフォルクスワーゲン、フランスのプジョーなどは署名しなかった。

自動車ジャーナリストの清水和夫氏は、次のように語った。

「クライメート・ジャスティス(気候の公平性)」で考えることが重要だ。国や地域でエネルギー供給の状況は異なる。また、今ある車を全てEVに置き換えるのに必要なバッテリーを賄うだけの、レアメタルなどの原材料は地球上にない。タイヤをはじめ自動車部品の多くは石油を原料としている」

「原料の調達から製造、リサイクル、廃棄までのライフサイクル全体でCO2だけではない温室効果ガス全てを削減することが第一だ」

「署名しないから悪いということではない。今回の声明をはじめ、ゼロエミッション車の主軸はEVだが、それだけが最適解ではないということだ。トヨタなど日本のメーカーは水素エンジン車の開発を進めるなど、EV一辺倒ではない代替技術の提案を始めている」

「ライフサイクル全体での温室効果ガス削減(カーボン・ニュートラル)を進め、1台の車を長く使う。そして最終的には世界全体の車の数を削減するしかないだろう」

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山口 勉(オルタナ副編集長)

大手IT企業や制作会社で販促・ウェブマーケティングに携わった後独立。オルタナライターを経て2021年10月から現職。2008年から3年間自転車活用を推進するNPO法人グリーンペダル(現在は解散)で事務局長/理事を務める。米国留学中に写真を学びフォトグラファーとしても活動する。 執筆記事一覧

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キーワード: #COP26#脱炭素

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