世界の環境NGO28団体は2月15日、世界の金融機関による石炭産業への投融資額ランキングを発表した。2019年から21年にかけて、世界の金融機関は約3630億米ドル(約41.7兆円)を融資し、融資額のトップ3を3年連続で日本のメガバンク(みずほFG、MUFG、SMBC)が占めた。(オルタナ編集部・長濱慎)

日本のメガバンク3行が融資額ワースト3(報告書:Who Is Still Financing the Global Coal Industry?より)

■融資総額の約2割を3メガバンクが占める

調査報告はウルゲワルド(ドイツ)、リクレイム・ファイナンス(フランス)、350Japan(日本)、その他25団体が共同で行った。石炭採掘、石炭火力発電、石炭インフラ開発など世界の石炭企業1032社に投資を行った376の民間金融機関を調べた(投資期間は2019年1月から21年10月まで)。

トップ10は以下の通りで、日本のメガバンク3行の融資額(約8.7兆円)が全体の約2割を占めた。(単位は10億ドル)

1) みずほフィナンシャルグループ:33,604(約3.8兆円)

2) 三菱UFJフィナンシャルグループ:23,151(約2.6兆円)

3) 三井住友フィナンシャルグループ:20,431(約2.3兆円)

4) バークレイズ(英):16,136

5) シティグループ(米):14,965

6) 中国銀行(中):13,453

7) JPモルガン(米):12,256

8) バンク・オブ・アメリカ(米):9,585

9) ウェルズ・ファーゴ(米):8,463

10) BNPパリバ(仏):7,805

これら10金融機関のうち、中国銀行を除く9行が50年までに投融資ポートフォリオの排出実質ゼロを目指す国際的イニシアチブ「ネット・ゼロ・バンキング・アライアンス」に加盟している。12位には三井住友トラスト・ホ ールディングス(約7600億円)も入った。

機関投資家については米ブラックロックを筆頭にトップ4を米国勢が占め、5位に日本のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人:約280億米ドル・3.2兆円)がランクインした。

■石炭への投融資を続けさせる3つの「抜け穴」

国際環境NGO350Japanは、日本の金融機関が脱石炭に踏み切れない制度上の「抜け穴」を3つ挙げた。

一つめが、「既存案件の抜け穴」。メガバンクは新規の石炭火力プロジェクトへの支援はしないが、計画中の既存案件については継続するとしている。「既存」にはブンアン2火力発電所(ベトナム)のように、まだ建設が始まっていない案件もある。

二つめが、「プロジェクトファイナンスの抜け穴」。運転資金や一般事業目的など、メガバンクが使用目的を限定せず電力事業者に融資した資金が、結果的に新規の石炭火力プロジェクトに使われてしまうケースだ。

三つめが、上流となる「石炭採掘の抜け穴」だ。2021年、みずほフィナンシャルグループは新規採掘プロジェクトへの投融資を禁止。三菱UFJフィナンシャルは19年、三井住友フィナンシャルは20年に、それぞれ環境負荷の高い採掘方法である山頂除去方式への投融資は行わないとした。しかし石炭火力と同様に、既存プロジェクトに関しては野放しのままだ。

金融機関の脱石炭が進まない背景には、「ゼロエミッション火力」を掲げながらも、石炭火力に固執する日本政府の方針がある。350Japanの渡辺瑛莉シニア・キャンペーナーは、こう危機感を示した。

「ここ10年ほどで世界が脱石炭に舵を切る中、日本は高効率石炭火力を成長分野に位置付けてきた。このまま石炭にしがみつくことで、再エネはじめ他のグリーン投資に十分な資金が回らず、CO2削減も進まず、経済的にも行き詰まり、このまま日本が『沈没』してしまうのではないか危惧している」