ペット産業のCSR、重要なのは「対話」と「倫理」


グッドガバナンス認証団体をめぐるー⑨「人と動物の共生センター」

認定特定非営利活動法人人と動物の共生センターは、ペットのしつけ教室や、高齢者とペットの飼育困難支援、ペット産業のCSRなどに取り組む。奥田順之理事長は「命を扱う仕事だけに、関わる人の思いも強い。対立を招くこともしばしばだが、誰もが他者を思いやる     ことができる社会づくりに貢献したい」と語る。(聞き手・村上 佳央=非営利組織評価センター、山口勉=オルタナ編集部)

考え方の違いも尊重する

――設立に至る経緯や活動について教えてください。

設立は2012年です。ただ活動自体は学生のころに始めました。大学卒業後、一旦別な仕事に就きましたが、その後自分が社会に一番貢献できることは何かを考え、団体の設立に至りました。

現在職員は7人で、そのうち獣医師が私を含めて2人います。2021年度の正会員は46名、賛助会員は107名です。他にも事業をサポートする方がいます。5つの事業、「適正飼育普及活動」、「高齢者とペットの飼育困難支援」、「ペット防災」、「野外繁殖抑制事業」、「ペット産業のCSR」を軸にして活動しています。

2017年に余剰犬猫問題の「蛇口モデル」を発表し、実践と提言を行ってきました。

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蛇口モデル(「人と動物の共生センター」HPから)

余剰犬猫問題は、入り口に当たる上の段の蛇口(余剰犬猫の発生)と、出口となる下の段の蛇口(余剰犬猫の処遇)の2つの問題があります。

『殺処分ゼロ』は、殺処分の蛇口を閉めて、保護施設等での飼育と、家庭へ譲渡の蛇口を開くことで対応しています。しかし、家庭へ譲渡できない犬猫もいるため、必然的に保護施設などの飼育が増えてしまいます。

本質的には、上流の蛇口である過剰な繁殖や、捨てられ、行き場のない保護犬猫を生まない社会を目指す必要があります。それには上の段の蛇口を閉めることが必要です。

その実現に向け、ペット産業のCSRを推進する活動を行っています。2018年には、ステークホルダーとの対話を深めるきっかけづくりとして、ペット産業CSR白書を発行しました。

シンポジウムで語る奥田順之理事長
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山口 勉(オルタナ副編集長)

大手IT企業や制作会社で販促・ウェブマーケティングに携わった後独立。オルタナライターを経て2021年10月から現職。2008年から3年間自転車活用を推進するNPO法人グリーンペダル(現在は解散)で事務局長/理事を務める。米国留学中に写真を学びフォトグラファーとしても活動する。 執筆記事一覧

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