認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン(東京・中央)は5月11日、2021年の認証製品の推計市場規模は158億円に及び、昨年比20%増と大幅に上がったと発表した。背景には、コロナ禍で家庭用フェアトレードコーヒーやフェアトレードチョコレートの購入が増えたことがあるという。気候変動や人権問題への危機感を背景にSDGsへの関心が急拡大する中、フェアトレードは環境・人権の両側面にアプローチできる仕組みとして、Z世代を中心に消費者からの支持が集まっている。(オルタナS編集長=池田 真隆)
同団体の発表では、2021年のフェアトレード認証製品の推計市場規模は157.8億円。2020年の131.3億円と比較すると20%増という結果になった。
急拡大した要因としては、コロナ禍で家庭にいる時間が増えたことがある。フェアトレードコーヒー市場は前年比21%増え、フェアトレードチョコレート市場も前年比10%増になった。ノベルティなどのコットン製品や紅茶の売り上げも上がった。
サステナビリティ戦略に力を入れた大手小売がプライベートブランドでフェアトレード商品を展開する動きも加速した。近年気候変動や人権問題への危機感を背景にSDGsへの関心が急拡大している。フェアトレードは環境・人権の両側面にアプローチできる仕組みとして、Z世代を中心に消費者からの支持を集めている。
自社のサプライチェーンの透明性向上や原材料の継続的な確保の手段としても企業から注目され、フェアトレード認証参加組織数も2021年は243社と昨年から10%増えた。
■日本とスイスの差は100倍以上
日本の市場は広がってはいるが、欧州諸国と比べるとその差は以前として大きい。国際団体フェアトレード・インターナショナルの本部があるドイツと日本の市場規模を比較すると、ドイツは2,374 億円(2020年)と、日本の約18倍に相当する。一人当たりの年間購入額が最も多いスイスと年間購入額を比較すると、スイスは日本(104円)の約 108 倍に当たる11,267円だった。
欧州諸国の規模が大きい背景には、消費者の環境・社会課題に対する意識の高さや、フェアトレードの認知の高さを受けて、企業が積極的にフェアトレードを取り入れる傾向があるい。
フェアトレード・ラベル・ジャパンでは、日本のフェアトレード市場の拡大を目指し、5 月を「フェアトレード月間」と定め、キャンペーンを開催する。「世界フェアトレード・デー」(5月の第2土曜日)に合わせ、様々なイベントを行う。
ミリオンアクションキャンペーンと名付けたこの取り組みは5月の1か月間に「商品購入」や「SNS 投稿」、「イベント参加」などフェアトレードに関するアクションを増やしていくキャンペーンだ。全国のフェアトレード関連企業や、フェアトレードの普及・啓発活動をしている市民団体や学生団体、フェアトレードタウンなども巻き込む。規模は国内最大級を誇る。昨年は119万アクションを達成し、今年は昨年の目標の1.5倍に上る150万アクションを目指す。
アンバサダーには吉川ひなのさん(モデル/起業家)、廣瀬俊朗さん(元ラグビー日本代表キャプテン)、望月理恵さん(セント・フォース取締役)、堀潤さん(ジャーナリスト)、末吉里花さん(エシカル協会代表理事)、エバンズ亜莉沙さん(エシカルコーディネーター)が就任した。