記事のポイント
①オランダの研究チームが牛肉や豚肉などからマイクロプラを検出した
②見つかった粒子は、ポリエチレンやポリ塩化ビニル、ポリスチレンなど
③どこから動物の体内に侵入したのかは分からず、人間への影響も不明
オランダのアムステルダム自由大学の研究チームが、牛肉や豚肉、牛・豚の血液、牛乳からマイクロプラスチックを検出した。同大学は今春、はじめてヒトの血液中にマイクロプラスチック(プラスチック粒子)を発見したと発表したが、同じ手法で行ったという。飼料からも見つかったことから、エサが主な原因の1つであると考えられている。(オルタナ編集委員・栗岡 理子)
■牛肉の約9割からマイクロプラ、血液からは100%
研究チームが調べたのは、牛肉、豚肉、牛と豚の血液、牛乳、そして飼料だ。
牛肉は8サンプル中7サンプルから、豚肉は8サンプル中5サンプルからマイクロプラスチックが見つかった。調べたすべての牛と豚の血液サンプル(各12検体)からもマイクロプラスチックが見つかった。
牛乳については、直接手絞りしたものと農場のミルクタンク内のもの、スーパーマーケットでパックに入れて販売されているものの計3タイプの25サンプルを調べた。その結果、すべてのタイプから計18サンプルのマイクロプラスチックが検出されたという。
他から混入する可能性のない血液や手絞り牛乳からも検出されたということは、マイクロプラスチックが動物の体内に吸収されたことを示している。
飼料は、干し草タイプのものとペレット状のもの、細断タイプのものが調べられた。干し草タイプからは検出されなかったが、それ以外のすべての飼料サンプルからマイクロプラスチックが見つかった。
■人間の健康への影響は不明
見つかった粒子は、ポリエチレンやポリ塩化ビニル、ポリスチレンなど。これらのプラスチックがどこから来て、どのように飼料や動物の体内に入り込んだのかは分かっていない。このことによる人間の健康への影響も不明だ。
マイクロプラスチックの曝露経路には摂取する食物や水・空気、加工過程での汚染や包装材などがあるが、ペレット状の飼料と細断された飼料の全サンプルから検出されたことから、家畜の主要な汚染源の1つは飼料であると考えられている。
詳細は、研究を委託したPlastic Soup Foundation(プラスチックスープ財団)のウェブサイトに掲載されている。