米独2つのモーターショー EVシフトがより鮮明に

記事のポイント


  1. 米国とドイツで9月に開かれたモーターショーの出展車はEVが中心だった
  2. 米デトロイトではバイデン大統領が、EV普及に1350億ドル以上の投資を表明
  3. 独ハノーバーでは、EVと燃料電池車の長距離トラックが初公開された

米デトロイトと独ハノーバーで9月、相次いで国際モーターショーが開かれた。デトロイトにはバイデン大統領が来場し、関連インフラも含むEVの普及促進を宣言。米ビッグ3もEVを出展した。一方のハノーバーでもEVが中心で、一部ではFCV(燃料電池)トラックも発表された。(オルタナ副編集長・長濱慎、在独ジャーナリスト・松田雅央)

メルセデス・ベンツのEVトラックヘッド「eActors Long Haul」。2024年の量産化を予定、想定価格はディーゼル車の約3倍(写真:松田雅央)

■「EVで大陸横断できるインフラ整備を」バイデン大統領

北米国際オートショー(デトロイトモーターショー)は、北米最大規模の自動車ショーだ。第一回目は1907年で、コロナ禍の影響で今回3年ぶりの開催となった。

前回(2019年)はトヨタがスポーツカー「スープラ」の新型を世界初公開するなど、ショーは各メーカーによる新車発表の場という側面が強かった。現地報道を見るかぎり、今回は新型モデルの話題が影を潜め、大きなニュースといえばバイデン大統領の来場だった。

報道陣公開日の9月14日に来場したバイデン氏は「我々はEVの未来を築いている」と、普及に向けて1350億ドル(約19兆3000億円)以上を投資すると語った。「将来は東海岸から西海岸まで走っても、ガソリンスタンドと同じように充電ステーションを見つけられるようになるだろう」と、インフラの整備にも言及した(ホワイトハウスHPより)。

大統領の言葉を反映するかのように、米ビッグ3のゼネラルモーターズ(GM)、フォード、クライスラーはEVを中心に展示。米国で人気の高いカテゴリーであるSUVやピックアップトラックもEVが目立ったようだ。

これまでエンジン車が主流だった大型オフロード車の「ジープ」(ステランティス傘下)も、24年から北米市場でEVを発売すると発表した。

国産メーカーの出展は、トヨタとスバルのみだった。コロナ禍によるモーターショーの縮小や、ラスベガスのハイテク技術見本市(CES)に発表の場が移っていることに加えて、国産各社のEVシフトがまだ本格化してないことも関係しているだろう。

バイデン政権は2030年までに、米国内で販売する新車の50%をEV、プラグイン・ハイブリッド、または燃料電池車にする大統領令を発令した。州レベルではカリフォルニア州が8月に、ニューヨーク州が9月に、2035年までにガソリン車の販売を禁止すると表明した。

■メルセデスがEV長距離大型トラックを初公開

ドイツの国際モーターショー(IAA)は、1879年にベルリンで第一回が開かれた。乗用車部門と商用車部門が毎年交互に開催され、2022年は9月に北西部のハノーバーで商用車部門が行われた。コロナ禍のため4年ぶりの再開となったが、特筆すべきはEVの存在感が増したことだ。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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キーワード: #脱炭素

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