記事のポイント
- ESG情報開示研究会(EDSG)では2023年の重要テーマを分科会で議論している
- ストーリーテリング、非財務と財務の関係、人的資本を重要テーマと位置付け
- EDSGには100を超える発行体、機関投資家、監査法人、公的機関が参加
100を超える発行体、機関投資家、監査法人、公的機関が参加する一般社団法人ESG情報開示研究会(以下EDSG)は6月、日・英版で活動報告書を発行した。2020年6月から始めた活動内容を振り返り、発行体・投資家・基準設定機関に向けたESG情報開示のあり方に関する提言をまとめた。2023年にかけてESG情報開示における重要テーマについては分科会を立ち上げ会員同士で議論を交わしている。どのようなトピックを話しているのか紹介する。(一般社団法人ESG情報開示研究会 共同代表理事=増田 典生)
今回はEDSGが立ち上げた3つの分科会を紹介する。
■統合報告書改善分科会:ストーリーテリングについて議論
日本では600を超える事業会社が統合報告書を発行している。これらの報告書を読み解き、EDSGでは、このような仮説を立てた。それは、ESGをパーパスやビジョン、経営戦略と紐づけストーリーとして発信することが不得手ではないかというものだ。
海外先進事例と比較した際に、E・S・G個々の取り組みでは大きく劣後しているとは言えない。しかし、ESGを「ストーリー」として発信することが不得手ではないか。この視点で分科会では議論を交わす。
Comply or Explainの原則を鑑みるときに、欧州先進企業はExplainが非常に巧い。日本は(生真面目なゆえに?)先ずはComplyしようとしがちだ。だが、重要なことは、ストーリー構築にも関わるが、なぜこの情報を開示するか/しないのかを、ステークホルダーの理解と共感を得られるようにExplainすることである。会員企業の統合報告書をこうした観点から改善を図っていきたい。
■非/未財務と財務の関係性分析分科会:京大大学院と協働研究