杉並区議発言、脱原発気運を警戒?

「師匠」・石原伸晃氏と握手する大和田伸・杉並区議(大和田伸公式サイトから引用)

「反原発デモは地域の迷惑。デモに対しては公園の貸出を規制すべきだ」――。自民党所属で東京都杉並区議会の大和田伸(おおわだ・しん)議員が、4月10日に高円寺で開催された原発廃止デモを巡って14日の区議会で行った発言が波紋を呼んでいる。集会やデモの自由は憲法第21条で保障されているだけに、ツイッター上では同議員に対して「デモの否定は民主主義の否定」「憲法を無視した発言」などと非難の声が渦巻く。

■主催者「大和田氏から事実確認や抗議なし」

4月10日の「原発やめろデモ」でマイクを握る松本哉氏(JR高円寺駅前で)

高円寺の原発廃止デモには主催者発表で1万5千人が参加。大和田議員は発言で「一部のデモ参加者が車のボンネットを叩いたり、壁にペイントしたりするなどして、地域に多大な迷惑を及ぼした」と指摘する。

ところが、デモの主催者でリサイクル店「素人の乱5号店」店長の松本哉氏は「そういった事実は聞いていないし、苦情も持ち込まれていない」と話す。松本氏を知る須黒奈緒・杉並区議も「大和田氏が言うようなトラブルは、今日に至るまで一切耳にしていない」と証言する。

4月10日のデモ当日は背広姿で応援する人も

松本氏は「デモの際は地域の迷惑にならないようにと参加者に呼びかけている。もしも物を壊したりすることがあれば、それは当の本人が責任を負うべきで、『迷惑だからデモを規制せよ』と言うのは全く話の筋が違う」と今回の発言に半ばあきれ顔だ。

しかも驚くことに、当の発言を行った大和田氏自身から松本氏に対して、事前に事実確認や抗議などは全くなかったという。果たして大和田氏は、本気で地域のために事に当たる気があるのか。「単に反原発デモをさせたくないだけでは」と松本氏がいぶかるのも無理はない。

■デモ参加者は被災地に71万円を寄付

大和田氏は、自民党の石原伸晃衆議院議員の秘書を経て区議選に出馬し、今年4月にトップで初当選。ちなみに氏が区議会で発言した当日、石原氏は「反原発は集団ヒステリー」と語った。「師匠」と「弟子」のどちらにも、東電原発事故の深刻さと向き合う気概はみられない。

なお高円寺の原発廃止デモでは、参加者らが募金で集めた71万円が、東日本大震災と原発事故の被災地で、杉並区と災害時の相互支援協定を結んでいる福島県南相馬市へ義援金として寄付されている。(オルタナ編集部=斉藤円華)2011年6月16日

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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