理念なき「農業政策」、見直しへ国民と議論を

記事のポイント


  1. 食料・農業・農村基本法の検証・見直しが進んでいる
  2. 5月29日に開かれた第16回基本法検証部会で中間取りまとめが示された
  3. しかし、持続可能な農業に対する理念や定義が語られていない

5月末に食料・農業・農村基本法の検証・見直しに関する中間取りまとめが示された(画像はイメージ)
5月末に食料・農業・農村基本法の検証・見直しに関する中間取りまとめが示された(画像はイメージ)

ぼくに支持政党はない。あえて言えば、目指すべき政策の実現を共有できる議員を支持するということになる。これまでの政権をほとんど担ってきた自民党を票田として支えてきた利益団体の大きなものが農業団体、つまりJAという農業協同組合だ。

しかし1960年に1175万人だった農業従事者は、2022年には123万人と激減している。しかも70歳以上が57%を占め、10年後には半減することは明らかだ。この大きな変化を踏まえ、今後の農業政策は誰を対象になされるべきなのだろうか。

前回の論考において、ぼくは食料・農業・農村基本法に触れ、「農業は『農家の専有物ではない』、『すべての人は農業をする権利がある』ということを制度的に示し、「農業を国民全体のものにする必要がある」と書いた。自民党は5月17日、「食料安保の強化等、食料・農業・農村基本法見直しに向けた提言」を公表した。

5月29日には農林水産省に設置された食料・農業・農村政策審議会基本法検証部会は15回の会合から「中間とりまとめ」を採択し、野村農水大臣に提出した。これは、農林水産省のサイトで閲覧できる。

■「持続可能な農業」の定義が語られず

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tokuemichiaki

徳江 倫明(オーガニックフォーラムジャパン会長)

1951年熊本県水俣市生まれ。78年「大地を守る会」に参画、有機農産物の流通開発を行い、88年日本初の有機農産物の宅配事業「らでぃっしゅぼーや」を興す。その後オーガニックスーパー、有機認証機関の設立などを手がけ、環境と食の安全をテーマにソーシャルビジネスの企画開発に挑戦し続けている。現在は(一社)フードトラストプロジェクト代表理事、生産と販売を繋ぐ“東京産直オフィス”FTPS株式会社を運営。

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