記事のポイント
- 仏世論調査会社イプソスは消費者の消滅に焦点を当てたレポートを公表
- 「AIは生産コストを削減するが、消費には何の影響も与えない」と指摘した
- 人口増と消費による成長を前提とした企業戦略からの転換を呼びかけた
仏世論調査会社イプソスはこのほど世界的に進む人口減少の流れを受けて、AIが経済に与える影響について分析したレポートを公表した。そのレポートでは、「AIは生産コストを削減するが、消費には何の影響も与えない」と言い切った。企業には、人口増と消費による成長を前提とした戦略からの転換を呼びかけた。(オルタナ編集部=川原莉奈)

イプソスが公表したのは、「世代レポート2026:連続性と断絶」。同レポートでは、世界的な人口減少がもたらす「消費者の消滅」に焦点を当て、AIの台頭が経済に与える影響と、企業が今後生き残るためにアプローチすべき新たな消費者セグメントについて提言した。
レポートでは、若年層向けのマーケットのシェアは拡大する中、潜在的にはより価値の高い高齢世代の消費者が軽視されている状況にあるという。
現代社会における本質的な問題点について、イプソスのダレル・ブリッカー・パブリックアフェアーズ部門グローバルサービスラインリーダーは、「生産したものを買う人がいなくなること」と指摘した。AIによって生産性は向上し、コストも減るが、「ロボットは昼食を買わない。消費には何の影響も与えない」と分析した。
レポートでは、十分な資産を持ちながらも市場で軽視されがちな高齢層を「休眠経済」と位置付け、こうした層を新たな市場として捉える企業事例を紹介した。
スイスの食品大手ネスレは、高齢者向け栄養ドリンク「Nestlé Vital(ネスレバイタル)」を提供する。さらに、ブラジルの銀行イタウ・ウニバンコは、50歳以上向けの金融教育プログラムをメッセージアプリWhatsApp(ワッツアップ)上で展開する。高齢者が複雑な銀行アプリの利用に苦労する一方、メッセージアプリを日常的に利用している点に着目した。
ダレル・ブリッカー氏は、企業には人口増加と消費による成長を前提とした戦略から転換し、新市場を開拓することが急務だと提言した。


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