アクティビストの存在感が、日本企業で急速に高まっている。背景にあるのは、低い資本効率や形骸化したガバナンスなど、日本企業が抱える課題だ。企業はアクティビストとどう向き合うべきか。2020年までネスレ日本社長を10年間務めた高岡浩三・ケイ アンド カンパニー社長に聞いた。(オルタナ輪番編集長・吉田広子)

高岡浩三 (たかおか・こうぞう)
ケイ アンド カンパニー代表取締役社長。1983年神戸大学経営学部卒、同年ネスレ日本入社。各種ブランドマネジャーなどを経て、ネスレコンフェクショナリーのマーケティング本部長として「キットカット」受験応援キャンペーンを手がける。2010年ネスレ日本代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)に就任。「ネスカフェアンバサダー」で日本マーケティング大賞受賞。20年3月ネスレ日本を退社し、現職。
■株主の監督機能、歴史的に弱い
日本のコーポレートガバナンスの歴史は、まだ浅い。ガバナンスの制度を整え始めた段階で、実際の運用という点では、発展途上にあると感じています。
その背景には、戦後の日本経済の成り立ちがあります。日本は1945年の敗戦後、経済的にほぼゼロに近い状態から復興を始めました。当時は国内に十分な資本を持つ投資家が少なく、企業は外国資本に依存せざるを得ない状況にありました。
一方で、日本政府や経済界には、「できるだけ日本資本で復興を進めたい」という考えがありました。そこで、当時もっとも大きな資金供給力を持っていた銀行が、企業を長期的に支える仕組みが広がっていきます。それが、日本独自の「メインバンク制」です。
その結果、日本では長らく銀行が大株主となる構造が続きました。極端に言えば、メインバンクの了承があれば株主総会で議論する必要がなかったわけです。短時間で形式的に終わる「シャンシャン(手締め)総会」が一般的でした。現在、銀行の株式保有比率は大きく低下していますが、「メインバンク」という言葉自体は残っています。
■株主の関与に根強い抵抗も
こうした歴史の中で、日本企業では「会社は社員や企業共同体のもの」という考え方が強く根付いていきました。一方で、欧州や米国などでは「会社は株主のもの」という意識が強く、経営陣は株主から経営を委ねられた存在と位置付けられています。
もちろん、どちらが絶対的に正しいという話ではありません。ただ、日本では半世紀以上にわたり、株主による経営監督が相対的に弱い構造が続いてきました。
欧州や米国の企業と比べると、日本企業は利益率やROE(自己資本利益率)の面で見劣りするケースも少なくありません。それでも、日本では経営陣が長期政権化しやすく、業績不振だけを理由にトップが交代するケースは、一般的ではありません。
海外では、取締役会や指名委員会が機能し、臨時株主総会を経てCEOが解任されることもある。しかし、日本企業の多くは、いまだに「株主に経営を左右される」ことに強い抵抗感を持っています。
その背景には、取締役会の構成の違いもあります。日本では、社外取締役に弁護士や公認会計士が就任するケースが多いですが、必ずしも経営の経験を持つ人材ばかりではありません。一方、海外では、CEO経験者や事業責任者経験者など、実際に経営を担ってきた人材が取締役会に参加し、経営戦略や資本政策について厳しい議論を行うことが一般的です。
(この続きは)
■モノ言う株主が企業の変革担う
■プロの経営者が日本企業に不足
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■企業経営の質をいかに高めるか
■モノを言える社外取締役を

