記事のポイント
- 最新の科学をもとに製作した「2050年の天気予報(Ver.2)」が公開となった
- これは、2014年に製作した「2050年の天気予報」のリニューアル版だ
- 当時想定していた2050年の気温が、すでに現実になったことでリニューアルした
最新の科学的知見をもとに製作した「2050年の天気予報(Ver.2)」が2026年8月3日、広く一般公開(無料)となった。「Ver.2」となっているのは、2014年に世界気象機関(WMO)が製作した「2050年の天気予報」の内容を更新したからだ。その背景には、地球温暖化の進行が、わずか12年前に予測していた想定をさらに上回り、当時予測していた2050年の気温などが2025年時点ですでに現実となってしまったことがある。(オルタナ輪番編集長=北村佳代子)

(c) 「2050年の天気予報」製作委員会
動画「2050年の天気予報(Ver.2)」が2026年8月3日、「暑すぎる夏を終わらせるWEEK」の開幕に合わせて公開となった。「暑すぎる夏を終わらせるWEEK」は、集中的に気候変動に関する発信を行うキャンペーンだ。
2025年には、一人ひとりが気候変動を自分事にするには、最も暑い時期にこそ気候変動について考えることが重要との考えから、日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP:神奈川・逗子)が主幹事となって、毎年8月8日を「暑すぎる夏を終わらせる日」という記念日に登録した。そして2026年は、8月1日~9日を「暑すぎる夏を終わらせるWEEK」と定めた。
「2050年の天気予報(Ver.2)」の公開に先立ち開催されたメディア向け説明会で、JCLPの松尾雄介事務局長は、「あと24年後の2050年に、自分や自分が大事に思う人たちが何歳になっているのかを想像してほしい」と呼びかけた。
「温暖化と言えば、北極のシロクマや、かわいらしい地球のイラストをイメージする人もいるかもしれない。しかし現実の温暖化は、今、われわれの生活・健康・命・経済にすでに影響している」(松尾氏)
「例えば2025年の内閣府の調査によると、食品価格は、過去15年、他の物価変動から乖離する形で大きく上昇している。それが、われわれがスーパーで体験している物価高だ。この背景には異常気象や気候変動があるが、今後はもっと気候変動が物価に影響を与えようになるという認識を共有したい」(同)
■今より過酷な2050年の未来図
「2050年の天気予報」はもともと、2014年に世界気象機関が世界のメディアなどとともに製作・公表していた。今回、リニューアル版の製作となったことについて、江守教授は、「現実の暑さが(当時の)2050年の予測を超えていってしまっている。とんでもないことだ。まだ25年も早い。12年前、東京の連続真夏日の日数は(2050年8月に)50日と報じたが、2023年には軽々とそれを超えて64日になった。日本だけではない。フランスなど世界も同様だ」と説明した。
動画「2050年の天気予報(Ver.2)」では、気象キャスターの井田寛子氏が2050年8月8日の天気予報を伝え、東京大学未来ビジョン研究センターの江守正多教授が解説する。
その天気予報では、酷暑で日中に外出自粛令が出され、熱中症の搬送車の急増で救急車が足りなくなり、到着まで1時間かかるといった未来を映し出し、井田キャスターが「命を守る行動を」と呼びかける。

(c) 「2050年の天気予報」製作委員会
食料予報でも、熱波や水不足で米が実らない地域や、高温・干ばつで飼料や油が激減して輸入価格が高騰するなど深刻な様子を描く。暑さで乳牛や豚・鶏の生産も落ち込み、カツ丼が気軽に食べられなくなるという。
カツ丼の例について江守教授は、メディア向け説明会の中で、「暑いことで畜産の生育が影響を受けるだけではない。見逃されがちだが、食用油の材料である大豆や菜種が不作になると、油の価格も高くなり、揚げ物も気軽にできなくなる」と補足した。
動画では、食料予報に続く台風情報の映像インパクトが大きい。上陸時の中心気圧920ヘクトパスカル、瞬間最大風速100メートルのスーパー台風が日本列島を襲い、家屋の屋根が飛び、鉄塔が倒れる様子も映る。海水温が高くなることでもたらされる記録的な豪雨や、津波のような高潮予想も映し出す。
フルバージョン(10分)の動画はこちら(https://www.youtube.com/watch?v=DDF9Sg5DLzc)
■再エネ・EVの加速が温暖化を食い止める
■個人も企業も、待ったなしの対応が必須に

