記事のポイント
1.仏裁判所が気候変動リスクも「注意義務法」の対象になると判断した
2.トタルにスコープ3を含めた注意義務計画の見直しを命じた
3.トタルはスコープ3の法的責任を巡り控訴した
フランスのパリ司法裁判所は、エネルギー大手トタルエナジーズに対し、顧客による製品使用時の温室効果ガス排出のスコープ3を注意義務計画に組み込み、6カ月以内に見直すよう命じた。パリ市と環境団体が、人権や環境への重大なリスクの管理を企業に義務付ける「注意義務法」に基づき、気候変動対策の強化を求めて提訴していた。トタルは、顧客による排出は自社の管理外であるとして控訴した。(オルタナ副編集長=京正裕之)

パリ市と複数の環境NGOでつくる原告団は、トタルの注意義務法に基づいて策定する注意義務計画を巡り、同計画がスコープ1と2に偏り、スコープ3が考慮されていないと主張していた。
これに対して、パリ司法裁判所は6月25日、石油やガスの採掘・販売は最終的な燃焼を前提としており、スコープ3も同社事業に伴う気候リスクに含まれると認定した。その上で、6カ月以内にスコープ3を含めたリスク分析を反映した計画を提出するよう命じた。
一方、注意義務法の下で実施する具体的な措置や事業戦略は企業の裁量に委ねられるとし、原告団が求めた新規油田・ガス田開発の停止や、パリ協定の1.5度目標に沿った排出削減措置の策定については命じなかった。
トタルは7月27日、気候変動は国際社会全体が取り組むべき課題であり、注意義務法の対象外だとして控訴した。さらに、顧客による製品使用時の排出は企業が管理できる範囲を超えており、注意義務法やEUの企業持続可能性デューデリジェンス指令(CSDDD)でも顧客の活動は対象に含まれていないと主張している。



