記事のポイント
- IEAによると2025年、世界の新車販売台数の25%がEVだった
- 低価格の中国製EVが東南アジアなどでガソリン車を駆逐し始めた
- 中国・欧州・米国・日本・韓国・アジアなど市場ごとにEV普及動向を追った
国際エネルギー機関(IEA)によると、2025年に世界の新車販売台数の25%がEVだった。低価格の中国製EVは、中国国内に加えて輸出も増え、東南アジアなどでガソリン車を駆逐し始めた。中国・欧州・米国・日本・韓国・アジアなど、市場ごとにEV普及の動向を追った。(オルタナ客員論説委員=財部明郎)

今年もまた暑い夏がやってきた。筆者が子どものころは、夏は暑くてもせいぜい30℃。「今日は暑いと思ったら真夏日だぜ」という感覚だった。
ところが、近年ではなんと5月から真夏日を記録するようになり、7月になると35℃を超えるのが当たり前。40℃を超えるところも出てきて、気象庁は今年から「酷暑日」なる用語を使い始めたくらい暑くなってきている。
地球温暖化の原因はCO2などの温室効果ガスをまき散らしてきた我々人間自身にある。IPCC第6次報告書には、これはもう議論の余地がないと記されている。自分に責任があるといわれるといい気持ちはしないものだが、この期に至っての悪あがきは事態をもっと悪化させるだけのことだ。
温暖化対策としては、発電の脱炭素化と電気自動車(EV)の導入が有力な手段と考えらえている。どちらか一方だけではだめだ。電力も再生可能エネルギーや原子力に切り替えながら、そのCO2を排出しない電力を使ってEVを走らせる。発電とEVの両方をセットにして進める必要がある。
ではEVの普及はどれだけ進んでいるのだろうか。一時期EVの売上が増えたことがあったが、今は停滞していてEVブームは終わったなどと日本の一部のマスコミでは伝えているが、単なるブームの話をしているのではない。われわれ人類の将来がかかっている問題なのだ。
今年春、IEA(国際エネルギー機関)は恒例のEVに関する年次報告書「Global EV Outlook 2026」を発表した。ここではこの報告書の中から世界のEV販売状況について紹介したい。
■世界の自動車販売台数の4台に1台はEV
IEAの報告によると、世界のEV販売台数は2020年以来、毎年350万台ずつ増えつづけている。昨年(2025年)は一昨年に比べて約2割増加して、2000万台を突破。また、新車販売台数全体に対するEVの割合(以降「EV販売比率」ということにする)は25%、つまり新車の4台に1台がEVであったという。これにより、2025年には石油需要が1日当たり約120万バレル削減されたと推計されている。これはCO2削減にはいいことだ。
ただし、IEAのいうEVにはバッテリー式電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)および航続距離延長型電気自動車(EREV)が含まれている。過去2年間EREVが増加する傾向があったが、2025年にはそのシェアが7%未満まで低下し、BEVが再び市場拡大を主導してEV販売全体の約65%を占め、市場の中心はBEVであることが示されている。
EVの販売台数やEV販売比率は国や地域によって違いがある。最も販売台数が多いのは中国で、世界のEV販売台数の6割以上を占めている。次に多いのが欧州、その次に米国であり、日本はIEAの統計上「その他」扱い。EVの世界で日本はすっかり影が薄くなってしまった。

また、EV販売比率についても中国の伸びが大きく、昨年中国で売られた自動車の半分以上がEVであった。というと、「なんだ、自動車販売量の4分の1がEVだといっても、それは中国が異常に大きなEV販売をやっているから数字上そうなっただけじゃないのか」と突っ込まれそうだ。
たしかに中国のEV販売台数の割合は大きいが、中国は国内だけではない。その価格競争力を武器に世界中に輸出攻勢をかけ始めている。その結果、東南アジアをはじめとして多くの国々で中国製EVがガソリン車を駆逐し始めているのだ。
ちなみに、EV販売比率が最も大きいのはノルウェーで97%に達している。そのほかの国については、アジアでの伸長が著しい。2020年に比べるとネパールが10%から68%へ、中国が6%から53%へ、ベトナムが0%から41%へ、シンガポールが2%から40%へ、それぞれ増加するなど、急激にEV販売比率を伸ばしている国がある。
欧州ではEV販売比率が2022年には20%に達していたが、そのあと横ばいとなっていた。しかし、2025年には再び増加に転じている。一方、米国では2023年に約10%に達したあとは伸び悩んでいる。この理由はトランプ大統領だ。これはまたあとで述べる。

(この続きは)
■中国市場は世界最大のEV市場
■欧州市場はCO2排出規制がEVに追い風に
■米国市場はトランプ政権下で逆の動きに
■新興国市場の約6割が中国製EV
■伸びる韓国と影の薄い日本
■アメとムチがEV販売台数に影響する

