記事のポイント
- キリンビールは、「一番搾り」を通じて生産者を支援する取り組みを始めた
- 対象製品が1本売れるごとに0.1円を寄付し、消費者も参加できる仕組み
- 一次生産者の支援を行うことで日本人の「誇り」を育み、ファンの開拓へ
キリンビールは、「一番搾り」を通じて食の生産者を支援する取り組みを始めた。対象製品が1本売れるごとに0.1円を生産者に寄付し、消費者もこの仕組みに参加できるようにした。一次生産者の支援を行うことで日本人の「誇り」を育み、新規ファンの開拓につなげる。(オルタナ輪番編集長=池田真隆)

提供:キリンビール
キリンビールが7月に始めたものは「一番搾りアクション」。対象製品の売上高に応じた寄付に加え、購入者が専用サイト上で「一番搾りコイン」を使って全国47都道府県の食の生産者を応援できる仕組みを導入した。日本の食文化を支える一次産業の課題解決を目指す。
背景にあるのは、気候変動や原材料価格の高騰、生産者の高齢化、人手不足など、日本の食を取り巻く危機だ。昨年には米不足や価格高騰が社会問題となり、多くの消費者が「日本の食は当たり前ではない」ことを実感した。
「36年間、日本のおいしい食に支えられてきたブランドとして、何か恩返しができないか。その純粋な思いが出発点でした」。こう語るのは、一番搾りの佐藤洋介・ブランドマネージャーだ。
■「寄付」を入り口にしない「ブランドアクション」
近年、社会課題の解決と商品購入を結びつける「寄付付き商品」は珍しくない。しかし佐藤ブランドマネージャーは、「寄付を入り口にはしないこと」を何より重視したという。
「まず何よりも知っていただき、共感していただきたいのは、日本の新しいおいしさを生み出す生産者の挑戦です。寄付が先に来ると、どうしても販売促進のためのキャンペーンに見えてしまう。生産者の思いや挑戦を理解していただいた結果として、応援の手段が寄付であるという順番を大切にしています」
実際、特設サイトでは全国の生産者一人ひとりの取り組みや思いを紹介する。購入者はQRコードからアクセスし、自ら支援先を選んで応援できる。企業が一方的に寄付を行うのではなく、消費者自身が主体的に参加する設計だ。
CSV(共通価値の創造)の考え方に基づき、ブランドの存在意義を起点として社会課題を解決し、その価値をブランド価値へと転換していく。社内でも、この取り組みは「ブランドアクション」と呼ばれている。佐藤ブランドマネージャーは、「企業だけが行動するのではなく、お客様にも主体的に参加していただく双方向の仕組みであることが重要」と説明した。
■「日本の誇り」がブランドの核に

