コンセプトこそが価値を創造していく【戦略経営としてのCSR】

大久保和孝
大久保 和孝 (新日本有限責任監査法人CSR推進部長)

明けましておめでとうございます。環境変化に適応した持続的な経営を実践していくためには、環境変化を自分事化すること(第8回)。仕事や興味のある分野とは関係のないことにも関心を持ち、それらを単に知識ととらえるだけではなく、業務の中で自分事化することが求められる。

とりわけ現場の環境変化への認識力の向上こそがCSR意識の社内浸透のポイントとなる。実際には、課題の解決策は簡単には見つからない。そこで必要となるのが「ヨソモノ」を巻き込み従来の発想を超えた解決策を模索するステークホルダーダイアログだ(第5回)。これらを戦略的に取り組むことがCSR戦略である。
 
本年も、企業活動とは直接関係のない社会課題をテーマとして取り上げながら、それらを自分事化することを通じ、企業の付加価値につなげていく方策を模索していきたい。

■作り手の想いの「表現」こそが付加価値
価値創造とは何か。そもそも「ものづくり」とは作り手の想いを表現したものだが、そのプロダクトアウトの一つとして物理的なハードや直接的なサービスがある。他方、作り手の「想いそのもの」の表現も大切なプロダクトアウトである。 

例えば、アップルは、同社製品の機能の高さだけでなく、故S・ジョブス氏の強烈な製品にかける想いが付加価値の高い製品や企業評価につながっている。他方、ソニーは、かつてのソニーイズムが分かりにくくなり、機能面での勝負に終始している感を拭えない。コンテンツ(機能)競争では、圧倒的な差別化ができなければ、価格競争に巻き込まれていく。

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大久保 和孝

株式会社大久保アソシエイツ代表取締役社長(公認会計士・公認不正検査士)。慶應義塾大学法学部卒。前EY新日本有限責任監査法人経営専 務理事(ERM本部長)。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授、商工組合中央金庫取締役、セガサミーホールディングス監査 役、LIFULL取締役、サーラコーポレーション取締役、サンフロンティア不動産取締役、武蔵精密工業取締役(監査等委員)、ブレイン パット監査役、他多数の企業等の役員に就任。

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