PRIなどがサステナ投資の定義を統一、ESGウォッシュ対策で

記事のポイント


  1. PRIなど3団体は11月1日、サステナブル投資の定義を統一化した
  2. ESG投資は盛り上がる一方、「ESGウォッシュ」の取り組みもある
  3. 定義を統一し、健全な形でESG投資の推進を狙った

国連責任投資原則(PRI)など3団体は11月1日、サステナブル投資の定義を統一化した。近年、ESG投資は盛り上がる一方、サステナビリティやグリーンを掲げながら実態は考慮していないファンドが出てきた。定義を統一化し、健全な形でESGを考慮した投資を推進していく。(オルタナ総研フェロー=室井孝之)

サステナブル投資の定義を統一化したのは、PRIに加えて、投資家に金融教育を提供する投資専門家の世界的な非営利専門組織CFA協会、世界のESG投資額の統計を集計する国際団体グローバル・サステナブル・インベストメント・アライアンス(GSIA)の3団体だ。

3団体は11月1日、サステナブル投資に関する5つの用語の定義を更新した。5つの用語とは、「スクリーニング」「ESGインテグレーション」「テーマ型投資」「スチュワードシップ」「インパクト投資」だ。

この新定義は、証券規制当局の為の国際基準設定機関である証券監督者国際機構(IOSCO:イオスコ)が2021年に発表した、サステナビリティに関連した投資と金融に関する一連の勧告を受けて作成した。

イオスコが勧告した目的は、「グリーンウォッシングに対応すること」「投資家がEGSをテーマとする投資商品の特徴や潜在的なリスクを理解すること」「商品が間違いなくサステナビリティ関連商品であることを確認する」ことである。

5つの用語の更新された定義は、次の通りだ。

❶スクリーニング: 投資が許可されるかどうかを判断する基準に基づく規則の適用
❷ESGインテグレーション:リスク調整後リターンの向上を目的とした、投資分析・意思決定プロセスにおけるESG要因の継続的な検討
❸テーマ型投資: 特定のトレンドにアクセスするための資産の選択
❹スチュワードシップ: 投資家の権利と影響力を利用して、顧客と受益者の利益が依存する共通の経済的、社会的、環境的資産を含む、顧客と受益者の全体的な長期的価値を保護および向上させること
❺インパクト投資: 経済的リターンとともに、ポジティブで測定可能な社会的および/または環境的影響を生み出すことを意図した投資

用語の定義は、投資家、規制当局、政策立案者、市場参加者を対象とする。用語に一貫性を持たせ、近年問題となっているESGウォッシングに対応した。

muroi

室井 孝之 (オルタナ総研フェロー)

42年勤務したアミノ酸・食品メーカーでは、CSR・人事・労務・総務・監査・物流・広報・法人運営などに従事。CSRでは、組織浸透、DJSIなどのESG投資指標や東北復興応援を担当した。2014年、日本食品業界初のダウ・ジョーンズ・ワールド・インデックス選定時にはプロジェクト・リーダーを務めた。2017年12月から現職。オルタナ総研では、サステナビリティ全般のコンサルティングを担当。オルタナ・オンラインへの提稿にも努めている。執筆記事一覧

執筆記事一覧
キーワード: #ESG#脱炭素

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..