福島・鮫川村の焼却炉爆発――二重のマニュアル違反、警察・消防にも通報せず

施設内外の放射線量に異常はなかったというが、高濃度の除染廃棄物などを扱う環境省肝いりの施設で本格稼働から半月足らずに起こった事故のお粗末な原因と対応に、事業を根本的に見直す声が強まりそうだ。

事故は29日午後2時33分、コンベヤー付近で「パン」という大きな爆発音(報告では「破裂音」と表現)とともに発生。すぐに着火バーナー、二次バーナーが停止されたが、作業員が現場を確認中に二度目の小爆発が起こった。

焼却炉は午前8時過ぎに運転を開始し、牧草と稲わらなどを毎時190キログラムの定格運転状態で燃やし、事故発生時までに約1トンを焼却していた。

通常、焼却中は閉められているゲートシリンダが朝の点検で開けたままになっており、可燃性ガスと主灰が少量ずつコンベヤー内に排出されていたと考えられる。ただし目視では爆発後、コンベヤー周辺に主灰の飛散は認められなかったとしている。

セメント混練機の上部点検口も点検時以外は閉めることとなっており、二重の運転マニュアル違反が発覚した。

施設の破損状況は当初、コンベヤーの金属製の囲いが長さ3メートルに渡って破裂していたと発表していたが、さらに点検口の取り付け金具の4カ所の破損や軸受けの変形、接続シュートの破れなども確認された。

同省廃棄物・リサイクル対策部指定廃棄物対策チームは「さらに原因を究明し、安全対策と再発防止策をとりまとめて地元に説明をしたい。それまで施設は停止させる」としている。

詳細は環境省の「指定廃棄物処理情報サイト」「福島県鮫川村における実証事業」のサイトで。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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