記事のポイント
- 日本のGDPはドイツに抜かれ世界第4位となり、「諦め気分」が蔓延している
- しかし日本には個人の預貯金が1012兆円あり、これは世界最大の眠れる資源だ
- その3%である30兆円が循環すれば、新しい産業を創出することも可能だ
日本経済は衰退期に入ったのだろうか。実際、ドイツに追い越されて世界第4位の経済大国に成り下がったりと、そう思い込みたくなるような事象が相次いだりしている。それで、「諦め気分」が国民の間で蔓延しているようだ。(さわかみホールディングス社長=澤上 篤人)
確かに、人口は急激に減少していっており、その分だけ経済規模が縮小していくのは避けられない。若い人の間で海外勤務を嫌がるなど、国民全体の活力は下がっているともいわれている。
さらには、低温経済とも揶揄されるように、企業経営全般に「進取の気質」が落ちてきている。それどころか、何もかも「国頼み」「税金頼み」で生き永らえているようなゾンビ企業が、多数はびこっている。
それもこれも、よく指摘されるように、政治家はじめ日本の指導層が痛みを伴う抜本的な改革を打ち出せず、問題の先送りに終始しているからではないか。彼らは利益誘導型の政治に随したがっているとさえ言いたくなるような面も強く、リーダーとしての資質の低下は著しい。
とはいえ、いくら日本の産業界や政治指導層に何とかしてくれと願ったところで、大して期待が持てそうにない。それが、「失われた30年」となってきたはず。
その点、われわれ生活者がその気になって行動すれば、いくらでも日本経済や社会を活性化できるのだ。なにしろ、日本には1012兆円という大量の個人マネーが預貯金に眠っている(日銀統計、2024年3月末)。
■生活者主導の景気対策を