生物多様性のCOP16が開幕、進捗のモニタリングが議題に

記事のポイント


  1. 国連生物多様性条約第16回締約国会議が10月21日に開幕した
  2. 進捗状況を監視するモニタリング制度などについて議論される予定だ
  3. 背景には、2010年採択の「愛知目標」が、多くの国で達成されなかったことがある

国連生物多様性条約第16回締約国会議(COP16)が10月21日に開幕し、コロンビアのカリで11月1日まで開催される。生物多様性保全の進捗状況を監視するモニタリング制度などについて議論される予定だ。背景には、2010年に採択された「愛知目標」が、多くの国で達成されなかったことがある。(オルタナ副編集長=吉田広子)

議長国コロンビアのスサナ・ムハマド環境大臣 (C)

生物多様性に関するCOP(締約国会議)は約2年に一度開かれる。2022年12月にカナダ・モントリオールで開かれたCOP15では、国際目標「昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)」が採択された。

この枠組みは、2050年までに「自然と共生する世界」を実現することを目指し、2030年に向けて23のグローバルターゲットが設定されている。2030年までに地球の陸地と海洋の30%以上を保護地域として効果的に保全する目標「30 by 30(サーティ・バイ・サーティ)」も、その1つだ。

今回のCOP16では、生物多様性保全の進捗状況を監視するモニタリング制度などについて議論される予定だ。これは、2010年のCOP10で採択された「愛知目標」が、多くの国で達成されなかった反省を踏まえた取り組みだ。

日本を含む締約国は、GBFと自国の国家生物多様性戦略および行動計画(NBSAP)を整合させる必要がある。さらに、GBFの達成に向けて、各国が着実に行動しているか、目標達成の状況 を把握・評価できるモニタリング制度の構築について協議する。

一方、英ガーディアンの報道によると、COP16開催前に、NBSAPを提出した国はわずか25カ国にとどまった。世界の生物多様性の7割を占める17の生物多様性大国のうち、NBSAPを作成したのは、オーストラリア、中国、インドネシア、マレーシア、メキシコの5カ国だった。

G7で期限に間に合ったのは、日本、カナダ、イタリア、フランスだった。

議長国のコロンビアは、COP16のスローガンとして「Peace with Nature(自然との共存による平和構築)」を掲げる。

20日の開会式で、コロンビアのスサナ・ムハマド環境大臣は、190カ国以上の締約国、2万1000人以上の参加者に対して、自然と平和を築くように呼びかけた。

「本質的に重要なのは、私たちの生活様式を再構築し、開発モデルを再考し、社会として共に多様性の中で生きる方法を再発見し、自然を発展の犠牲者としないシステムを作り出すことだ。私たちの社会の持続可能な発展が、自然と共に生きる力を育む」と語った。

yoshida

吉田 広子(オルタナ副編集長)

大学卒業後、米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。日本に帰国後の2007年10月、株式会社オルタナ入社。2011年~副編集長。執筆記事一覧

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キーワード: #生物多様性

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