ISOがサステナ経営のガイダンス、ESGを測るモノサシも示す

記事のポイント


  1. 国際標準化機構(ISO)は、サステナ経営に関するガイダンスを発行した
  2. ISSBやCSRDなどにも対応し、サステナ関連情報の開示を支援する
  3. ESGの到達度を測るKPIの事例も示し、サステナ経営の実践と定着を促す

国際標準化機構(ISO)はこのほど、国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)の会場内で、サステナ経営に関するガイダンスを発行した。サステナビリティ関連情報の開示規制が相次ぐ中、ISSBやCSRDなどにも対応した。ESG領域の進捗度を測るKPI(重要業績評価指標)設定のノウハウもまとめた。(オルタナ編集部=松田大輔)

ガイダンスはISOのWEBサイトで無料でダウンロードできる
ガイダンスはISOのWEBサイトで無料でダウンロードできる

ISOはこのほど、サステナ経営のためのガイダンス「ESG実践と原則」(IWA48)を公表した。

ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)が公表した「IFRSサステナビリティ開示基準」によって、それまで乱立していたサステナビリティ関連情報の開示基準が定まりつある。

IWA48はこうした国際的な動きにも対応し、企業のサステナ関連情報の開示を後押しする。企業だけでなく、学術研究機関やNGOなど、さまざまな規模や形態の組織で利用できるガイダンスとした。

英国ロンドンに拠点を持つESG情報を提供するESGブックによると、ESG関連の規制は2011年から2020年の10年で、それ以前の10年と比べて155%増えた。さまざまな情報開示を義務付けられる中、IWA48はサステナ経営を推進する指針となる。

IWA48の特徴は、「E」(環境)、「S」(社会)、「G」(ガバナンス)それぞれの領域でKPI(重要業績評価指標)の事例を示した点にある。例えば「S」(社会)領域では、「多様性」「健康と安全」「コミュニティへの投資」「人権の遵守」などの項目をKPIに挙げた。

KPIで測ることができる具体的な指標としては、「業務に関連する差別やヘイト、暴力の年間件数」「ジェンダー間の給与の差」「女性管理職の割合」などを挙げた。「育児休業の平均取得週数」や「従業員エンゲージメント調査に参加した割合」なども有効な指標であるとした。

ISOはガイダンスの策定にあたり、英国規格協会(BSI)やカナダ規格審議会(SCC)、ブラジル技術規格協会(ABNT)などと連携した。128カ国・1900人以上の専門家の意見を取り入れた。

ISOのセルジオ・ムヒカ事務総長は、「これらのガイドラインは、持続可能なビジネス慣行の導入を加速させ、多様なコミュニティと環境に利益をもたらすものだ」と語った。

matsuda daisuke

松田 大輔

中央大学総合政策学部卒業。2021年から米国サンフランシスコで研究資料の営業マネジャーとして勤務。2024年に株式会社オルタナ入社。

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キーワード: #ESG

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