「エコシステム」が生み出すカリスマ・ワイン――ワイン大国フランスのオルタナティブなワイン作り(2)

■周辺の野生地を購入し、肥沃な土壌づくり

ランドリー氏が所有する草原地もそのケースで、2007年にAOCマルゴーの対象区画の見直しが実現して、約11年に渡る行政との法的闘いを経て、念願の認定を達成した。因みに、AOCマルゴーのぶどう畑の地価は、100~200万ユーロ/1haで、その下のランクのAOCオー・メドックの約10倍だ。

雑草が生えたままのぶどう畑
雑草が生えたままのぶどう畑

このようにAOCマルゴーになった元草原地は、森林に囲まれた自然地帯にあり、この地域特有のエコシステム(生態系)が残っている珍しいところだという。ランドリー氏は、それを破壊しないでぶどう栽培を実現するためにユニークな取り組みをしている。

まずその保全のために周辺の野生地(50ha)を購入して、地質学者と植物相・動物相の専門家の友人夫婦の協力で、その実態調査をして、モニタリングを続けている。さらに、そこに生えている低木の数量を一定に保つために適切な頭数の牛を放し飼いにして、肥沃な土壌作りをしている。

薬草に使われる野花
薬草に使われる野花

ぶどう畑には、有機栽培で重要な役割を果たす自然の雑草や野花はそのまま残して、一部は薬草として利用している。野うさぎなどの動物も生息しているが、「他に食べるものがあればぶどうには興味を持たないので心配無い」と言う
ランドリー氏。

■祖父の畑仕事を見て覚えたバイオダイナミック農業

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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