証券業界、株主優待を子どもの貧困解消に: 国連WFPの学校給食支援を通じ

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記事のポイント


  1. 日本証券業協会は証券各社の株主優待を原資に国連WFP協会に寄付を続ける
  2. 取り組み開始から7年間で国連WFP協会への寄付総額は9200万円に上る
  3. 国連WFP協会は学校給食支援事業を通じて貧困にあえぐ世界の子どもたちを支援する

株主優待を活用した寄付活動が広がっている。日本証券業協会(東京・中央)は2019年に「株主優待SDGs基金」を発足し、証券各社が受け取る株主優待を原資に、国連WFP協会(横浜市)など社会課題に取り組む団体に寄付してきた。国連WFP協会は当基金から7年で総額9249万円の寄付を受け取り、貧困にあえぐ世界の子どもたちの学校給食支援事業に充てる。2026年からは株主優待を使った寄付の取り組みに銀行業界も加わり、支援の輪がさらに広がりそうだ。(オルタナ輪番編集長=北村佳代子)

日本証券業協会の日比野隆司会長(右)と
国連WFP協会の安藤宏基会長(左)

日本証券業協会と国連WFP(世界食糧計画)協会は7月31日、都内で「株主優待SDGs基金」に係る寄付金授与および感謝状贈呈式を開催した。

「株主優待SDGs基金」は、株主優待等を利用してSDGsに資する取り組みを行う団体の支援を目的に、日本証券業協会が2019年に発足した基金だ。

昨今、上場企業においては、株主優待制度の中に「寄付」という選択肢を加える事例が増えてきているが、この「株主優待SDGs基金」の原資は、そうした上場証券会社の株主が株主優待で寄付を選択したケースに限らない。証券会社には本業のトレーディングで株式を保有するケースや、信用取引の担保として株式を保有するケースがあるからだ。

証券各社が株式を保有することで受け取る多種多様な株主優待品を、換金のうえ、日本証券業協会に拠出し、社会課題の解決に資する団体を同協会が選定し寄付してきた。

2025年度は、当基金に日本証券業協会の会員証券会社20社*から総額3097万円超が集まり、国連世界食糧計画(国連WFP)の日本公式支援窓口である「認定NPO法人国連WFP協会」と、こども家庭庁・文部科学省などが推進する「こどもの未来応援基金」に拠出を行った。

なお、「株主優待SDGs基金」は2026年3月末をもって発展的に解消し、新たに2026年4月に一般社団法人株主優待こども・若者貧困対策支援機構(東京・中央)が発足した。全国銀行協会(東京・千代田)とともに、株主優待を原資に、貧困にあえぐ子ども・若者の支援の取り組みを継続する。

寄付金授与式に登壇した日本証券業協会の日比野隆司会長は、「証券業界のみならず銀行業界も加わっていただけたことで支援の輪がさらに広がり大きな社会的インパクトを生み出せる」と期待を込めた。

銀行の場合も、上場銀行の株主優待の選択の一つとして株主が寄付を選択するケースがあるほか、政策保有目的で株式を保有するケースや、融資の担保として株式を保有するケースがある。株主優待が交付されれば、換金して同支援機構への拠出原資に充てる。

■学校給食支援は教育機会の確保にも

日本証券業協会は2025年度に集めた金額の半分に相当する1548万円を、国連WFP協会に拠出した。

授与式で日比野会長は、「国連WFPの学校給食支援事業は、子どもたちの栄養の改善だけでなく、教育機会の確保、地域産業の復興、将来の自立にもつながる意義深い取り組みだ」と説明した。

国連WFP(本部:イタリア・ローマ)は、飢餓をなくすことを使命とし1961年に設立された国連唯一の食糧支援機関だ。2025年は学校給食支援事業を通じて63カ国、1930万人の子どもたちに学校給食を届けた。

2020年には国連WFPの飢餓と闘う努力や、飢餓が紛争や内戦の武器として利用されることを阻止する努力などが評価され、ノーベル平和賞を受賞した。日本の公式支援窓口の国連WFP協会も、企業・団体と連携した支援の取り組みが評価され、2024年に外務大臣表彰を受賞している。

国連WFP協会の会長を務める日清食品ホールディングスの安藤宏基社長・CEOは「世界では飢餓人口が6億4千万人と言われている中で、国連WFPでカバーできている困窮者は1億2千万人くらいだ」と説明した。

「株主優待SDGs基金」からの寄付はローマ本部を通じて、子どもたちの学校給食支援活動に充てているという。

「生活困窮状態の国々・社会においては、子どもたちは労働力とみなされてしまう。教育を受けられない子どもたちは約2億7300万人いるが、学校給食プログラムを届けられているのはまだ1930万人と、大きな部分にはなっていない」(安藤・国連WFP協会会長)

「学校に来れば子どもたちは給食が食べられるとなれば、困窮世帯の親たちも、子どもを学校に行かせる。給食後に教育プログラムも用意し、毎日、学校で学び続ければ、子どもたちの将来の仕事の夢にもつながり、それはその国を支える貴重な労働力になる。飢餓状態の人に食料を与えるだけでは発展にはつながらない。発展のためには就学が必要ということで、この取り組みを続けている」(同)

*2025年度に「株主優待SDGs基金」に拠出した証券会社20社:
あかつき証券(東京・中央)、岩井コスモ証券(大阪市)、エービーエヌ・アムロ・クリアリング証券(東京・港)、SMBC日興証券(東京・千代田)、SBI証券(東京・港)、岡三証券グループ、共和証券(東京・中央)、光世証券(東京・中央)、大和証券グループ本社、東海東京フィナンシャル・ホールディングス、内藤証券(大阪市)、中原証券(東京・中央)、野村證券、松井証券、丸三証券、みずほ証券(東京・千代田)、三菱UFJ eスマート証券(東京・千代田)、水戸証券(東京・文京)、むさし証券(さいたま市)、楽天証券(東京・港)

北村(宮子)佳代子(オルタナ輪番編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ輪番編集長)

オルタナ輪番編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部、2024年1月からオルタナ副編集長。

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キーワード: #サステナビリティ

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