豊洲の土壌を汚染した東京ガスの社会的責任は

何よりISO26000は、企業(組織)の社会的責任を「組織の決定および活動が社会および環境に及ぼす影響に対して、透明かつ倫理的な行動を通じて組織が担う責任」と定義している。そこには「健康及び社会の繁栄を含む持続可能な発展への貢献」が含まれる。今回の豊洲の土壌汚染は、まさに「組織の決定及び活動が社会および環境に及ぼす影響」に該当する事例であろう。

その上で、オルタナ編集部は、東京ガス広報部に下記の三つの質問をした。

1)なぜ豊洲工場でのガス製造過程において土壌を汚染してしまったのか。土壌汚染への対策は取っていなかったのか。

2)2007年3月、貴社が豊洲工場敷地の土壌対策を完了した後、なぜ東京都がさらなる土壌汚染対策をしなければならなかったのか。

3)豊洲工場の土壌汚染について、社会的責任に基づき、ステークホルダー(顧客である都民、従業員、株主など)への説明はどのようにしてきたか。

(東京ガス広報部の回答はこちらを参照ください)。

ところで、東京ガスのホームページには、これまでの土壌汚染の事例と経過の説明があった。そこには豊洲だけではなく、実に14カ所(※)の同社所有地で、「部分的に環境基準を上回る汚染物質(主にシアン、ベンゼン、砒素)が検出された」ことを明らかにしている。

(※大森用地、千住用地、相模原用地、日立用地、宇都宮用地、平塚用地、甲府支社用地、甲府工場用地、鶴見事業所、末広工場跡地、横浜工場跡地、平沼用地、江東区の深川用地、熊谷用地)

同社は土壌汚染について「操業開始の時期が古いため、正確に原因を特定することは困難ですが、装置の損傷等による漏洩があり、土壌に浸透したものと推定されます」と回答した。

だが、これほど多くのガス製造工場で、一様にシアンやベンゼンが検出されたということは「石炭の乾留技術は土壌汚染を前提に成り立っていた」と結論付けざるを得ない。この点については、引き続き東京ガスに回答を求める予定だ。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

執筆記事一覧
キーワード: #CSR
  1. 大貫 功
    2017/03/20 2:50

    インフラ整備として東京ガスは無くてはならないリーダー企業である。行政か”すべきことを代わって行う所謂補助金行政を操る、不透明な企業でもある。地方では東京ガスの権利乱用に振りまわされています。この官民一体型を壊滅させなければ豊洲問題は解決しません。

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