気候変動枠組条約のもと2016年11月に発効した「パリ協定」。すべての国が参加する、地球温暖化に取り組むための国際的枠組です。パリ協定は、世界平均気温の上昇を1.5~2℃までに抑えることを目標に、各国に温室効果ガスの削減への具体的道筋を示す「長期戦略」の提出を求めています。日本では、今、その策定に向けた議論が進んでおり、WWFジャパンは、それに対する提言として、2017年2月、『脱炭素社会に向けた長期シナリオ2017』を発表しました。
震災後の新しいエネルギー社会実現に向けた「シナリオ」
東日本大震災と福島原子力第一発電所の事故を受け、WWFジャパンは2011年から2013年にかけて、研究報告書『脱炭素社会に向けたエネルギーシナリオ 1部~4部』を発表。日本が目指すべき将来のエネルギー社会のあり方として、化石燃料や原子力に頼らない「脱炭素社会」の実現を、科学的な検証に基づき、提言してきました。
その趣旨は、省エネルギーによって必要なエネルギーの量を大幅に減らし、それをすべて自然エネルギー100%で賄うことをめざすというものです。
その中で提言した、電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)の社会の到来、自然エネルギー中心の電力系統のあり方、余剰電力からの水素製造などが、ここ数年で実社会に根付き始めています。
このような中、WWFジャパンは、最新データに基づいた研究を株式会社システム技術研究所に委託。シナリオの新たなアップデート版として、研究報告書『脱炭素社会に向けた長期シナリオ2017 ~パリ協定時代の2050年日本社会像~』を作成し、2017年2月16日、発表会を開催しました。
自然エネルギー100%は84兆円の節約