「問題解決」でNPOマネジメントの底上げを

トヨタNPOカレッジ「カイケツ」

第3期「トヨタNPOカレッジ カイケツ」に参加した受講生と講師ら

トヨタ財団は11月27日、トヨタ自動車の問題解決手法をNPO向けに伝える第3期「トヨタNPOカレッジ カイケツ」の成果報告会をトヨタ自動車東京本社で開催した。NPOの代表者は、それぞれのテーマに対する「問題解決」のステップを「A3資料1枚」にまとめて発表。トヨタ財団の小平信因会長は「企業でもNPOでも、効果的に成果を上げることが大切。カイケツを通じてNPO全体の底上げにつなげたい」と話した。(オルタナ副編集長=吉田広子)

トヨタ財団は、助成金を拠出するだけでなく、NPOに問題解決力を身に付けてもらうことを目的に、2016年から「トヨタNPOカレッジ カイケツ」を実施している。

今期は17団体25人が参加。それぞれ掲げたテーマに対し、約7カ月間をかけてトヨタ式「問題解決」を実践した。カイケツでは、「テーマ選定」「現状把握」「目標設定」「要因解析」「対策立案」「対策実行」「効果の確認」「標準化と管理の定着」という一連のステップをA3用紙1枚にまとめていく。

トヨタ財団の小平信因会長は、「トヨタの問題解決は、日々直面する課題に対し、生産性を高め、効果を出していく取り組みのなかで生み出された。NPOの皆さんが身に付けた問題解決という基本的な考え方、マネジメントの手法を日々の業務で実践し、ほかの人にも広げてほしい。カイケツを通じてNPO全体の底上げにつながれば」と話した。

■団体の社会的意義を再確認

Aグループ(古谷健夫講師)

成果発表会では、グループ内での発表後、グループごとに代表を選出し、全体発表を行った。

代表には、人材育成ゆふいん財団(大分県由布市)理事の大澤直彦さん(Aグループ)、NPO法人武尊根(ほたかね)BASE(群馬県片品村)の笹子和希さん(Bグループ)、特定非営利活動法人ブックスタート(東京・新宿)統括マネージャーの安井真知子さん(Cグループ)、NPO法人Co.to.hana(コトハナ/大阪市)の田中佐也加さん(Dグループ)が選ばれた。

ゆふいん財団のテーマは「成り行き任せにせず、環境変化に対応できる『国際交流事業』の運営の仕組みづくり」だ。組織が「メタボ化」するなかで、韓国・水原市との国際交流事業の評価指標を見直し、財団の社会的役割を再認識した。

武尊根BASEは、廃校になった武尊根小学校を舞台に、アウトドア体験や武尊根まつりなどを展開している。活動を始めて2年になるが、行政や地域住民と対話する場を積極的に設けてこなかった。そこで、「地区の将来像共有システム構築に向けた三者協働のための場をつくる」をテーマに掲げ、行政、地域住民、NPOの三者が地区のありたい姿について議論できる場づくりに取り組んだ。

今期から参加し、Bグループを担当した鈴木直人講師(日野自動車TQM推進室主査)は、「NPOの皆さんの成長を実感している。『困っている人の役に立ちたい』という志の強さを感じ、頭が下がる思いだった。スケールが大きな問題に取り組むからこそ、問題の整理が大切」と振り返る。

Bグループ(鈴木直人講師)

■引きこもっていた人の生きがいにも

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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