■「日本の銀行は融資止めて」
今回のインドネシア・汚職撲滅委員会による発表は、2号機建設の環境許認可をめぐり反対運動や裁判で様々な訴えが続けられる中で、行政と企業の間にある許認可をめぐる不透明なプロセスを改めて浮き彫りにした形だ。
現地で地域住民を支援するインドネシア環境フォーラム(WALHI)のドウィ・サウン氏は「今回の事件は氷山の一角であり、捜査を通じより大きな規模の汚職が明らかになればと思う。事業には巨額のお金が流れており、日本の銀行は融資を止めてほしい」と訴えた。
また現地の地域住民の状況に関し、「生活のために仕方なく発電所の建設に従事する住民もいるが、ほとんどの住民は生計手段を破壊するものだと建設に反対している。また住民たちは、汚職の捜査が郡長や村長など身近な行政のレベルにまで及ぶことを望んでいる」と述べた。
国際環境NGO・FoEジャパンの波多江秀枝氏は、「事業へ融資する予定だったフランスの金融機関クレディ・アグリコルは、気候変動対策の観点でCO2を大量に排出する石炭火力発電事業には融資しないという方針のもと契約を見送った。融資を続ける日本の銀行の姿勢が問われている」と話した。
今回のチレボン石炭火力発電事業を巡っては、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)など日本の4つのNGOが5日、調査報告書を発表した。国内の大手銀行・保険会社の投融資方針を格付けする「フェア・ファイナンス・ガイド」日本版の調査報告書として発表されたものだ。
報告書によれば、同事業について、国連グローバルコンパクトやOECD多国籍企業行動指針などの国際CSR規範の遵守状況を調べたところ、計66カ所の不遵守が判明。補償・生計回復措置の欠如や公害対策、環境アセスメントの不備や住民への人権侵害といった問題点が指摘されている。
Fair Finance Guide第11回ケース調査報告書
「腐敗にまみれたインドネシア石炭発電」
関連記事:
インドネシア住民、石炭火力拡張計画撤退求め控訴へ