COP25前半:パリ協定 積み残されたルールの議論紛糾

■石炭に固執する日本の姿勢に批判が集まる

会議始まってすぐに日本がCOP25期間中では初となる化石賞を受賞しました。

化石賞は、地球温暖化問題に取り組む世界120か国の1300を超えるNGOのネットワークであるCANインターナショナルが、温暖化対策に消極的な国に与える不名誉な賞。毎日夕方に行われる授賞式は多くのCOP参加者が詰めかける一大イベントで、その様子は国内外のメディアを通して世界に発信され、SNSでも拡散されます。

日本は「化石賞」を受賞

日本の受賞理由は、梶山経済産業大臣が記者会見で「石炭火力発電など化石燃料の発電所は選択肢として残していきたい」と発言したこと。この発言が、国内外のメディアに報道されるやいなや、世界の市民社会はCOP25の交渉を後退させる言動であるとして、即座に反応したのでした。

COP25の開幕を前に、国連環境計画(UNEP)は各国の対策の不足が極めて大きいことを示し、その不足を埋めるために、大量の温室効果ガスを排出する石炭火力発電所の建設の中止を求める報告書を発表しました。また、前日に行われた開会式でグテーレス国連事務総長も、各国の削減目標を引き上げるために、石炭「中毒」からの脱却を求めたばかりでした。

その翌日に、世界第5位の排出国の閣僚が石炭火力発電を維持すると発言したことで、日本から遠く離れたマドリードの会場に失望と落胆をもたらしました。

実は日本は「パリ協定」の資金援助の基金に多額の資金を提供している国(累積拠出額世界第2位)で、本来は評価されることもしているのに、石炭にここまで固執することによって、石炭国としてのマイナスイメージばかりが先行しています。これは日本にとっては本当に得策ではありません。世界中から注がれる石炭批判に対して、COP25の2週目に日本がどう応えるかに、注目が集まっています。
■グレタ・トゥーンベリさんの到着と気候マーチ

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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