COP25報告:史上最長の延長COP、3つのハイライト

【4】COP26にむけて

2020年はいよいよパリ協定が始まると同時に、日本も含めた全ての国が温室効果ガス排出量削減目標を含む国別目標(NDC)の再提出を行うことになっている年です。日本は、今回のCOP25でも批判を受けた石炭火力発電所に関する海外支援および国内政策についての姿勢を見直し、国別目標(NDC)の「野心の強化」を行うことが必要です。それができなければ、日本は、今回の若者の声に強く表れていた、気候危機への対応を求める世界の潮流を無視し続けることになります。

石炭からの脱却について、日本の姿勢は世界からの批判を集めている

COP25の会議の行方を2週間、現地で追い続け、より高い着地点を目指して活動してきたWWFジャパン 気候変動・エネルギーグループの専門家二名は、その終了にあたり、次のコメントを出しました。

 

小西雅子

このCOP25は「野心のCOP」、すなわちパリ協定へ出している各国の削減目標の引き上げをはかることが最大の狙い。それを求める若者たちの声がかつてないほど世界中から大きく響き、「若者COP」でもありました。残念ながらCOP25の大人たちは危機感に応える行動を十分には示せませんでしたが、対策を求める機運は世界中で高まっています。小泉環境大臣が日本としては初めて世界からの石炭批判に正面から向き合ったのが鮮明だったCOP会議、石炭などのCO2高排出構造から脱却する政策がまだない日本を変えることが急務です。

 

山岸尚之

今回のCOPでは、これまでになく、交渉の「中」と「外」の差を強く感じました。「外」では、これまで以上に気候変動の危機が叫ばれ、若者の声が高まる一方で、交渉の「中」では「市場メカニズムをとりまとめる」議論が中心に進む様は、やや異様でした。しかし、議長国チリも含め、多くの国はその「差」に気付き、「野心の強化」を主要な成果にするべく、努力をしました。その中に日本の姿がなかったのが無念です。日本も、今後、具体的に取り組みを強化していくためには、石炭火発技術の輸出および国内石炭火発増設の問題に向き合っていくことが必要です。

 

本稿は「WWFジャパン」ウェブサイトから転載

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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