ソーシャルビジネスとは何か

こうして取り残された人々や状況が直面する問題。それらが、貧困問題、差別偏見、環境破壊や地域格差などの社会問題です。でも、実際はすぐ近くに存在するこれらの問題を、ほとんどの人はよく知らないし、実感がありません。集約化や専門分化、標準化が「分断」を生み出しているのです。

私たちの生活は、利益や収入を得ることに追い立てられ、人間同士のつながりが薄れ、「共に生きるための助け合い」というあり方が抜け落ちてしまっている。冒頭でお伝えした多くの人々の違和感の正体は、ここにあるのかもしれません。

「共に生きるための助け合い」というビジネス本来のあり方を大切にし、取り残された人々や状況をも含めて、新たな社会を再構築する。それが「ソーシャルビジネス」です。

互いを理解し、活かしあい、助け合う。結果として利益が生み出される。当たり前のようで難しいこの「あり方」を、従来のビジネスとは異なる経営思想とビジネスモデルで実現し、さまざまな社会問題を解決するのです。

ビジネスモデルを構築する具体的な方法は、次回以降でお伝えしますが、ソーシャルビジネスに取り組まれている方や、取り組もうとしている方に僕がお伝えしたいのは、「社会問題の解決=ソーシャルインパクトの創出が『目的』であり『存在意義そのもの』」だということです。

ビジネスという仕組みは、利益創出を目的化し、ソーシャルインパクトを後回しにしやすい。もちろん、事業を継続、発展させるうえで利益は必要不可欠です。しかし、どのような状況にあっても、あくまでソーシャルインパクト創出を最優先とし、その上で利益を生み出す。それこそが、ソーシャルビジネスを、そうたらしめる理由です。

ソーシャルビジネスは、新たな社会をつくり出す原動力。今後、多くの会社がそのあり方を取り入れ、実践していくことで、今よりも「いい社会」を次世代に残していけると、僕は考えています。

鈴木雅剛(すずき・まさよし)
株式会社ボーダレス・ジャパン 代表取締役副社長
1979年山口県出身。大学時代、やる気なくつまらなそうに働くバイト先の人々や、働きたくても働けない人々の存在を目の当たりにし、「世界で一番働きたい会社をつくる」ことを志す。現在は、社会問題の解決と同時に、仲間やその家族の幸せを実現する「いい会社」を増やし、世界へと拡げていくために、経営手法や共同体の仕組みづくりに取り組み、13カ国35のソーシャルビジネスを展開している。

masayoshi suzuki

鈴木 雅剛(ボーダレス・ジャパン副社長)

株式会社ボーダレス・ジャパン 代表取締役副社長 1979年山口県出身。大学時代、やる気なくつまらなそうに働くバイト先の人々や、働きたくても働けない人々の存在を目の当たりにし、「世界で一番働きたい会社をつくる」ことを志す。現在は、社会問題の解決と同時に、仲間やその家族の幸せを実現する「いい会社」を増やし、世界へと拡げていくために、経営手法や共同体の仕組みづくりに取り組み、13カ国35のソーシャルビジネスを展開している。

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