そろそろ気付いてほしい動物に配慮しないリスク

【連載】アニマルウェルフェアのリスクとチャンス(2)

鶏卵大手アキタフーズの元代表が当時の農林水産大臣などに賄賂を渡したという事件の動機が、アニマルウェルフェア向上の阻害だったと知り、時代が変わったことを感じた。畜産は、今、歴史的な転機を迎えている。19世紀に発展した工場式畜産の限界、害悪が明らかになり、それを自然なものに戻すことが求められている。その波が、ようやく日本にも来たことを、もっとも抵抗していた人物が自ら決定づけた。

畜産はワンヘルスの考えで

ワンヘルスは、人、動物、生態系の健康はつながっているとする考えで、人の未来を守るためにも動物を守らなくてはならないという概念だ。陸生動物のほとんどは工場式畜産の中に閉じ込められているが、この工場式畜産ほどウイルスや菌の繁殖と進化に向いている場所はない。

動物たちは太陽の光も浴びられず、運動もできず、空気も悪く、骨折などの外傷にも内部疾患にも苦しみ、心身ともにストレスが高く、免疫が低い。そのような動物が、超過密に飼育され、清掃は殺されるまでされることはなく、トイレもごはんも就寝もすべて同じ場所ですることを強いられ、しかもそれらの動物は遺伝的に同一であるため、ウイルスや菌の増殖を阻むものはない。

国内のバタリーケージ飼育の様子
chihirookada

岡田 千尋(NPO法人アニマルライツセンター代表理事/オルタナ客員論説委員)

NPO法人アニマルライツセンター代表理事・日本エシカル推進協議会理事。2001年からアニマルライツセンターで調査、戦略立案などを担い、2003年から代表理事を務める。主に畜産動物のアニマルウェルフェア向上や動物性の食品や動物性の衣類素材の削減、ヴィーガンやエシカル消費の普及に取り組んでいる。【連載】アニマルウェルフェアのリスクとチャンス

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