サステナビリティ開示にIFRS財団が参入、その意味は

サステナビリティ情報開示分野へのIFRS財団の参入が意味する所は、財務報告のプレイヤーたちがこの分野を自らの守備範囲として認識し始めたということであり、これは極めて象徴的な出来事として捉えることができると思います。

その後の経緯を見ると、IFRS財団によるSSB設立提案には国際会計士連盟(IFAC)、金融安定理事会(FSB)、国内ではIFRS対応方針協議会(金融庁、経団連他がメンバー)など多くの関係団体が賛同を表明しています。

11月には、IIRCとSASBが合併し、新組織「バリュー・レポーティング財団」を設立するとの表明もありました。今後SSBが設立された場合、同財団がその実質的な役割を担う可能性もあり得ます。

サステナビリティ情報開示基準の統一化の動きは予断を許しませんが、企業としては単に統一基準に則った情報開示を行えばよいということではなく、自社のマテリアリティを軸とする中長期の価値創造ストーリーの開示こそが重要であり、それを補完するものとして統一基準に則った情報開示が存在するということではないでしょうか。

何れにしても今年はサステナビリティ情報開示を巡る動向に目が離せなくなりそうです。

遠藤 直見(オルタナ編集委員/サステナビリティ経営研究家)

遠藤 直見(オルタナ編集委員/サステナビリティ経営研究家)

東北大学理学部数学科卒。NECでソフトウェア開発、品質企画・推進部門を経て、CSR/サステナビリティ推進業務全般を担当。国際社会経済研究所(NECのシンクタンク系グループ企業)の主幹研究員としてサステナビリティ経営の調査・研究に従事。現在はフリーランスのサステナビリティ経営研究家として「日本企業の持続可能な経営のあるべき姿」についての調査・研究に従事。オルタナ編集委員

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キーワード: #サステナビリティ

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