子どもたちと社会をつなぐ、元会社員先生の挑戦

これまで表参道のケーキ屋とコラボし、マーケティング活動を通して子どもたちが考案したケーキを販売するほか、「タンザニアの子どもたちに自分たちができること」というテーマで、SDGsに取り組んでこられた山下さん。

その後もアパレル会社と共同や、2020年にはエンターテイメントを通して社会課題を解決するWORLD FESTIVALと共同し、ヨルダンやネパールの子どもたちとの交流で感じた思いを基に、子どもたちが作詞作曲に挑戦し、CD販売をするという取り組みを行った。

「初めは、子どもたちが考えることに慣れていなくて、教員側が引っ張って授業を作ってしまったという反省がありました。しかし、自分で解を見つけようとする力、なんとかしようとする力、対話の先に解が見つかるんじゃないかと思える力こそが必要だと、実践を通して感じました。」

「そこで、大学生ボランティアにファシリテーターとして授業に参加してもらったり、普段の授業から対話ベースの授業を行ったり、リフレクションカードで内省の時間を取ったりと、思考力を育むトレーニングに力を入れるようになりました。」

山下さんの授業風景

総合の時間だけでなく、普段の授業から思考力を使う練習を積み重ねた結果、子どもたちが先生や関わる大人たちに意見や意思を伝える場面が増えていったという。「教員が言ったことをただやるのではなく、自分たちでやりたいという明確な意思を持ってやる。子どもたちの力は、大人を変え、やがては世界を変えるということを体感することが増えてきました。」

そう語る山下さんの笑顔から、山下さん自身が先生という仕事を楽しんでいることが伝わってきた。そんな山下さんは今後の展望をこう語る。「総合の時間で実践してきたプロジェクトを通じて、“自律的学習者が育つことで、社会が変わる”という思いが確信に変わりました。子どもたちの熱意のある真摯な言葉は、親を変え、先生を変えました。そういうことを小学校発でどんどん取り組んでいきたいです。」

mihara

三原 菜央(スマイルバトン)

株式会社スマイルバトン 代表取締役/iU客員教員 1984年岐阜県出身。大学卒業後、8年間専門学校・大学の教員をしながら学校広報に携わる。その後ベンチャー企業を経て、株式会社リクルートライフスタイルにて広報PRや企画職に従事。「先生と子ども、両者の人生を豊かにする」ことをミッションに掲げる『先生の学校』を、2016年9月に立ち上げる。2020年3月にボーダレス・ジャパンに参画し、株式会社スマイルバトンを創業。著書に「自分らしく働く パラレルキャリアのつくり方(秀和システム)」がある。執筆記事一覧

執筆記事一覧
キーワード:

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..