組織運営に「透明性」と「ダイバーシティ」を

企業では、近年、トランスペアレンシー・レポートの公開が増えている。これは持続可能性の観点から、企業のガバナンスの仕組みや、その企業で特に課題になっている社会的課題への取り組みを公開しているものだ。

しっかりしたガバナンスの仕組みがある企業の方が、持続可能性が高い、利益を上げ続ける可能性が高い、株主に支持される、ということだ。

先進企業は、このトランスペアレンシー・レポートの中で、ダイバーシティ施策に言及している。性別、国籍、肌の色、経歴、性的指向や性自認など、多様な従業員が活躍し、多様な背景を持つ経営層がいる方が、より良い仕事、より良い判断ができるという考えに基づく。

さて、組織の意思決定過程が透明になった時、誰が、どんな属性の人がそこにいるのかも見えてしまう。その時に、属性が同じ、例えば中高年の男性ばかりの意思決定機関であったら、その組織は支持されるだろうか。もしそこで不祥事があれば、ダイバーシティの欠如が要因として指摘されることは容易に想像できる。

私としては、平時から、組織の意思決定の場のダイバーシティの度合いを公開し、改善に努めることを提案したい。女性の割合を40%に、そして性別以外の社会的マイノリティの度合いを10%にするくらいの目標があってもいいと思う。その方が、現実の社会のありように近くなるからだ。

◆東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に対する公開質問状

muraki

村木 真紀 (認定NPO法人虹色ダイバーシティ代表理事)

認定NPO法人虹色ダイバーシティ代表(理事長)。社会保険労務士。茨城県生まれ、京都大学総合人間学部卒業。日系メーカー、外資系コンサルティング会社等を経て現職。当事者としての実感とコンサルタントとしての経験を活かして、LGBTに関する調査研究や社会教育を行う。著書「虹色チェンジメーカー」(小学館新書)執筆記事一覧

執筆記事一覧
キーワード: #LGBT#ダイバーシティ

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..