経団連の旗振りもあり、SDGsは今のところ企業がリード役を果たしているように見えます。それはそれで大事ですが、本当の成功には一般の人々の理解や協力がどこまで広がるかがカギを握っていると言えるでしょう。
ちょっと前の話になりますが、サステナブル・ブランド国際会議2021横浜をウェブで視聴していて興味深い話を聞きました。
登壇していたのは大学生で、先輩の就活生のこんな話を紹介していました。
「学生時代に熱心に環境活動をしていた先輩が、就活の面接では、それを隠し、アルバイトの苦労話を披露して無事採用された」
「SDGsに熱心といわれる企業に就職した先輩は、いざ入社してみると看板に偽りあり。社員のこのテーマへの関心の低さに愕然とし、陰でコソコソとSDGs活動をしている」
なるほど、さもありなんという印象を受けます。企業は流行に遅れまいと、念仏のようにSDGs、SDGsと唱えているものの、社員はどこ吹く風でわれ関せず、というありがちな構図です。若者は企業のこうしたまやかしに敏感です。
ひとつのキーワードは「SDGsってきれいごとじゃない?」。
もちろん、そんなことはありません。間違っています。今や、SDGsやESG抜きに経営は考えられない時代です。真剣に取り組んでいる企業も出ています。あの米国でさえ、ステークホルダー資本主義が脚光を浴びているほどです。
ただ、残念なことですが、うわべだけSDGs先進企業のふりをしている企業も少なからず存在します。そういう意味では若者が一面の真理を言い当てていることも確かでしょう。彼らには日本企業のSDGsに対する姿勢がまだまだ不満です。怒りさえ感じているのです。ただ、ものは考えようです。裏を返せば、若い世代の中にSDGsに熱心な人たちが着実に増えてきているということなのですから。そこに注目しましょう。