前編では、コロナ禍において、マスクがコミュニケーションバリアの要因であること、そして、手話通訳、特に病院内に配置した手話通訳の必要性について掲載しました。後編では、病院内に配置されている手話通訳の詳細について述べたいと思います。(NPO法人インフォメーションギャップバスター理事長=伊藤芳浩)
なぜ病院内に手話通訳の配置が必要か
聞こえない・聞こえにくい人は、病院やクリニックで医療従事者と会話する時に、コミュニケーションをサポートする手話通訳を同行することがあります。各自治体に登録されている手話通訳を同行するためには、多くの地域では原則1週間前までに派遣依頼をする必要があります。
このため、急に病気になった時は、手話通訳の都合を調整することができず、依頼を断られる場合が多くあります。こういった手続きの面、また、時間的な制約が原因となり、聞こえない・聞こえにくい人は受療に対して抑制的になる、つまり、病院に行くのを控えてしまう傾向があると考えられています。