全ての人に確実なインフォームド・コンセントを(後編)

前編では、コロナ禍において、マスクがコミュニケーションバリアの要因であること、そして、手話通訳、特に病院内に配置した手話通訳の必要性について掲載しました。後編では、病院内に配置されている手話通訳の詳細について述べたいと思います。(NPO法人インフォメーションギャップバスター理事長=伊藤芳浩)

なぜ病院内に手話通訳の配置が必要か

聞こえない・聞こえにくい人は、病院やクリニックで医療従事者と会話する時に、コミュニケーションをサポートする手話通訳を同行することがあります。各自治体に登録されている手話通訳を同行するためには、多くの地域では原則1週間前までに派遣依頼をする必要があります。

このため、急に病気になった時は、手話通訳の都合を調整することができず、依頼を断られる場合が多くあります。こういった手続きの面、また、時間的な制約が原因となり、聞こえない・聞こえにくい人は受療に対して抑制的になる、つまり、病院に行くのを控えてしまう傾向があると考えられています。

誰もが安心して受診できる仕組みづくりが求められている
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伊藤 芳浩 (NPO法人インフォメーションギャップバスター)

特定非営利活動法人インフォメーションギャップバスター理事長。コミュニケーション・情報バリアフリー分野のエバンジェリストとして活躍中。聞こえる人と聞こえにくい人・聞こえない人をつなぐ電話リレーサービスの公共インフラ化に尽力。長年にわたる先進的な取り組みを評価され、第6回糸賀一雄記念未来賞を受賞。講演は大学、企業、市民団体など、100件以上の実績あり。著書は『マイノリティ・マーケティング――少数者が社会を変える』(ちくま新書)など。執筆記事一覧

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キーワード: #障がい

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